群馬県議会 2020-05-29
令和 2年 第2回 定例会-05月29日-03号
令和 2年 第2回 定例会-05月29日-03号令和 2年 第2回 定例会
群馬県議会会議録 第3号
令和2年5月29日 出席議員 48人 欠席議員 1人 欠員 1人
中沢丈一 (出 席)
久保田順一郎(出 席)
星野 寛 (出 席) 岩井 均 (出 席)
狩野浩志 (出 席) 福重隆浩 (出 席)
橋爪洋介 (出 席) 星名建市 (出 席)
伊藤祐司 (出 席) 角倉邦良 (出 席)
井田 泉 (出 席) 水野俊雄 (出 席)
後藤克己 (出 席) 中島 篤 (欠 席)
萩原 渉 (出 席) あべともよ (出 席)
岸 善一郎 (出 席) 臂 泰雄 (出 席)
井下泰伸 (出 席) 酒井宏明 (出 席)
金井康夫 (出 席) 金子 渡 (出 席)
安孫子 哲 (出 席) 藥丸 潔 (出 席)
小川 晶 (出 席) 伊藤 清 (出 席)
大和 勲 (出 席) 川野辺達也 (出 席)
本郷高明 (出 席) 穂積昌信 (出 席)
井田泰彦 (出 席)
加賀谷富士子(出 席)
│ │ (2) 新しい移住・定住について
│宇留賀副
知事 │
│ │ (3) 新しい交流・観光について
│宇留賀副
知事 │
│ │ (4) 群馬DCについて
│戦略セールス局長 │
│ │ (5) これからの観光と交流について
│戦略セールス局長 │
│ │3
新型コロナ時代の「未来への投資」について
│ │
│ │ (1) デジタルトランスフォーメーションと幸福度につい│知 事 │
│ │ て
│ │
│ │ (2) 財政状況について │知 事 │
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○萩原渉 議長 岩井均議員御登壇願います。
(岩井 均議員 登壇 拍手)
◆岩井均 議員 おはようございます。自民党、安中市選出の岩井均です。
初めに、
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に心から哀悼の誠をささげますとともに、感染された方々に心からお見舞いを申し上げます。
また、感染のリスクがある中で、献身的に職務に専念していただいている医師や看護師をはじめとする医療関係者や介護従事者、不安を抱えている児童生徒はじめ学校関係者、そして外出自粛や休業要請など、県の施策に御協力いただいている県民の皆様に心から感謝を申し上げます。
この本会議場も
新型コロナ対策で、市松模様のように半分の議員が出席をして、また執行部も出席者は答弁者のみということであります。議会傍聴も、自粛をお願いしております。
一日も早い
新型コロナの収束を願いながら、通告に従い45分間、知事はじめ執行部に質問しますので、簡潔な御答弁をよろしくお願いいたします。
それでは、
新型コロナウイルス感染症対策について、
社会経済活動再開に向けた
ガイドラインにおける
警戒度移行の
判断基準設定の考え方について、知事にお伺いします。
○萩原渉 議長 知事、答弁席へ。
(
山本一太知事 登壇)
◆岩井均 議員 昨日の一般質問でも、全議員がこの
新型コロナウイルス感染症について取り上げました。
県では、独自に
社会経済活動再開に向けた
ガイドラインを策定して、4段階の警戒度を設定しました。昨日の対策本部で、警戒度が現在の一定の緩和の3から、明日30日から大幅な緩和の2に引き下げることが決まりました。それに伴いまして、都道府県をまたいだ移動の再開、50人以下の
イベント開催が可能となります。また、休業要請の全面解除、学校の分散登校も始まります。いよいよ
社会経済活動が新しい生活様式を守りながら行える段階まで来たことは、喜ばしいことであります。
〔資料①提示〕このパネルが
警戒度移行の判断基準です。
新型コロナの感染状況によって、上げたり下げたりするときの判断の基準となるものであります。客観的な数値と総合的な状況という2つに分かれておりまして、この感染状況、
医療提供体制を見ながら警戒度を判断するというものであります。これは本当に、詳細な説明はしませんけれども、すばらしい判断基準ができたなというふうに感じております。
その中で、ひとつ懸念があります。それは、この近隣都県の感染状況で、東京都との往来が再開しても感染拡大のおそれがないこと、これが入っているということなんですね。私も最初はなるほどなと思いました。やはり群馬県は東京に非常に近いと、東京の影響を受けるということで、いい項目を入れたなと思いました。ただ、よくよく考えてみますと、やはり東京都の感染状況が群馬県の感染の判断基準に影響を与えることが果たしていいのかどうかということがあります。群馬県民が3密をしっかり守って取り組んでいるにもかかわらず、東京で感染が拡大したら、これは警戒度が上がると。具体的にいいますと、この
ガイドラインを見ますと、群馬が抑制されていても、東京が感染拡大という状況になると、警戒度が3に上がるんですね。3に上がると、これは都道府県をまたいだ移動の自粛とか休業要請が、また始まります。かなり行動は抑制されるんですね。
そういったことを考えますと、それを含めて、この警戒度を判断する基準はどのような考えで設定したのか、お伺いします。
◎山本一太 知事 御質問ありがとうございます。岩井県議には、県議会の重鎮として林業政策からベトナムとの交流に至るまで、幅広い分野でいろいろアドバイスいただいていることをまず感謝を申し上げたいと思います。
そこで、群馬県独自の
社会経済活動の再開に向けた
ガイドラインの考え方についてですが、今もう言及がありましたけれども、大きく言って2つ特徴があるというふうに思っています。1つは、段階的な緩和、慎重に経済活動を再開していくという方針があることですよね。これは県議も御存じのとおり、あまりにも経済再開を急ぐと、感染拡大、再発を招くおそれがあると。これは十分気をつけていきたいと思います。例えばアメリカは、今、全ての州で部分緩和が始まっているんですけれども、早速いくつかの州では、もう既に陽性者が上がってきていまして、専門家が警鐘を鳴らしていると。こういうことを回避しなければいけないということで、一応判断期間として、潜伏期間も考えた2週間というものを設けて、基本的には2週間ごとに判断していくということにしていると。これがひとつの特徴だと思います。
もう一つは、そこに上げていただきましたが、客観的な数値の基準のほかに、今、岩井先生から言及のあった総合的な状況も9項目を設けたということで、客観的基準はどうやって決めたかというと、例えばアメリカのCDC、
疾病予防管理センターでしょうか、今、ファウチさんという所長がアメリカ人に最も信頼があると言われていますけれども、まずこの中身の基準をよく見て、さらには東京の専門家会議の考え方も踏まえながら、
新規感染者の数とか、病院の稼働率とか、陽性率とか5項目を設定したと。そのほかに、今、先生から、県議から御指摘のあった総合的に判断するための基準も必要であるということで、例えば
高齢者福祉施設でクラスターが起こると伊勢崎の
有料老人ホームみたいに大変なことになるので、ここのモニターがちゃんとできていることとか、あるいは近隣、特に東京の情勢を十分踏まえなければいけないとか、こういう総合的な判断条項をつくったということも特徴だと思います。
ただし、情勢というのは物すごく速く動くので、一応2週間ごとに判断するとかいっても、何か緊急なことが起こったときには、これは2週間待たずにやるということもあるというふうな弾力条項を入れてあります。これはドイツの
メルケル首相が、
ロックダウンをずっと解除していくときに、
緊急ブレーキ措置という条項を導入したのと同じ考えです。
そこで、先生のおっしゃった東京の情勢、おっしゃることはよく分かります。今、群馬県の情勢というのは、御存じのとおり非常に落ち着いていますが、これは知事の外出自粛、あるいは休業要請に対して、大変な御迷惑、御負担をかけていますけれども、県民の皆さんに協力していただいた結果であって、群馬県がこんなに頑張っていて、せっかく収まっているのに、何でそんな東京の状況を気にするのかという人がいると思いますが、これはあくまで9項目の1つなので、いずれにせよ総合的に判断するということなんですけれども。ただ、先生に分かっていただきたいのは、東京で本当に感染拡大が続くとか、
オーバーシュートは起こらないと思いますけれども、そうなったときに、群馬県の感染リスクは下がらないと思います。往来も多い、通勤も多い、欧米みたいに
ロックダウンできない。東京が増えれば必ず群馬県も増えると。だから、東京が増えた瞬間に警戒度を上げるということはしませんけれども、やはり東京の感染状況というのは、よほど気をつけなければいけないと思っています。
もうやめますが、例えば観光の再開について、慎重な姿勢を取っているんですけれども、草津温泉の旅館の息子としては、これはもう観光産業には特別な思い入れもあって、一刻も早く皆さん来てくださいと言いたいんですけれども。例えば、今、群馬県の温泉地で陽性者は1人も出ていません。でも、もし東京から、だって草津温泉の観光客の9割は東京含む首都圏、伊香保も7割、こういう中で、例えばわっと他県から来て、陽性者が出たときに、幾ら温泉地が努力してもこれは防げないと。そうなったときの中長期的な風評被害等々を考えると慎重にならざるを得ないということで、もう1回言います。東京の状況だけで決めるわけではありませんが、これはやはり総合的な判断基準として、我々として見ていかないわけにはいかないと、こんなふうに感じております。
◆岩井均 議員 大変丁寧な御答弁ありがとうございます。昨日の安孫子県議のときに20分近い答弁がありまして、その後の状況は大変だったようです。今は5分程度でありがたいなと思いますので、そんな感じでこれからもよろしくお願いします。
知事の考え方は分かりました。確かに、本当に東京だけではないということで非常に安心しましたけれども、やはり東京の人たちも、もちろん注視する必要があるんですけれども、東京が上がることによって群馬が上がるとなると、警戒度が3になってしまうと、また大変ですよね。もちろん警戒はしなければいけないんですけれども。そういった意味では、東京を注視しながらも、重視するけれども、あまりそのところだけを入れるというのはちょっと考えていただきたいというふうに考えています。よりもっと、茨城もやっていますけれども、この基準というものをもう少し明確化すると、県民の方々も安心すると思うんですね。そういうところをぜひ検討してください。
2次質問しようと思ったんですけれども、時間の関係がありまして、ちょっと要望だけさせてください。
医療提供体制は、やはり一番重要なんですね。想定しておくべきことは、やはりこの冬に
インフルエンザと
新型コロナが同時に流行すると。このとき非常に厳しいわけでありまして、そういったときに
インフルエンザなのか、あるいは
新型コロナなのか分からないような状況が出てきます。そのときに大事なのは、やっぱり発熱外来ですね。今どんどん設置するように努力していただいていますけれども、まだ足りないと。収束して第2波が来る前には、やっぱり発熱外来を県内にできればできるほどいいわけですから、そういった体制をぜひ取っていただくようにお願いをします。
それと、もう1点、医療従事者への補償です。
PCRセンターの設置に向けて、県の各地の医師会が一生懸命頑張っていて、機運を上げているような状況にあります。ただ、この補償がまだあやふやなんです。ですので、
PCRセンターを設置するに当たっては、県が全面的に補償すると。国からの支援もありますから、そういったことを郡市の医師会に県のほうから話してもらえると安心感につながりますから、ぜひそういったことも取り組んでいただくようによろしくお願いします。
知事、ありがとうございました。
健康福祉部長、お願いします。
○萩原渉 議長
健康福祉部長、答弁席へ。
(
武藤幸夫健康福祉部長 登壇)
◆岩井均 議員
高齢者施設への
バックアップ体制の強化についてでございます。
〔資料①提示〕このパネルも、介護施設等の状況で、介護施設等の発熱状況がモニターされていることとありまして、これは本当にすばらしいことだなということで、心から敬意を表します。
高齢者施設における
感染症対策が急務です。やはり
高齢者施設は、なかなか
感染症対策の弱い施設が多いです。そういったところがありまして、具体的に言いますと、例えばある
高齢者施設で患者が発生したといったときに、まず必要になってくるのが防護具、衛生用品です。
フェイスシールドとかゴーグル、マスク、防護服と、こういったところになるわけですけれども、これを十分確保するのが、各施設ごとは困難ですね。1日食事が3回、そして、トイレとかオムツを交換するというのが1日七、八回入ります。そうすると、それが10人の体制であって、10人で10部屋ありますと、1週間で七、八百から1,000セット必要になってくるんですね。
県内には、聞くと1,200ほどの
高齢者施設があると。全て用意するのは無理ですから、そういったところで、やはり県が備蓄をしておいて、いざというときにはすぐ2週間分持っていけると、その体制を取っておくということが大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。
◎武藤幸夫
健康福祉部長 お答えいたします。
高齢者施設では、サービスの提供時におきまして利用者と介護職員とが密接に接触いたしますことから、お互いに感染するリスクが高く、
クラスター発生の可能性も高いと考えられております。今後、
新型コロナウイルス感染症の第2波も予想されることから、施設内で感染症が発生した場合には、防護ガウンですとか
フェイスシールドが大量に必要となると考えております。これを議員御指摘のとおり、施設のみで備蓄することは大きな負担になることから、クラスターが発生した場合に必要となる衛生防護用品の備蓄を県としてサポートしていく考えでございます。
今月11日の臨時議会におきまして、それらの購入経費、3施設3万セット分の予算の御議決をいただきました。あわせて使い捨てマスクの半年分、あるいは手指消毒液3か月分の予算も御議決をいただきまして、現在、産業経済部を中心といたしました医療用物資確保対策チームと連携いたしまして、購入手続を行っているところでございます。
今後、
高齢者施設のみならず、障害者の施設もあわせて感染症が発生した場合には、速やかに物品を届けまして、施設の職員が大変な中にありましても安心して業務に従事できますよう、しっかりとバックアップをしてまいりたいと、このように考えております。
◆岩井均 議員 非常に前向きな答弁ありがとうございます。やはりすぐに施設に届ける体制が必要でありまして、そういったときには、今からでも
高齢者施設の方々に安心感を与えるために、県としては、しっかり備蓄していますよと、何かあったら安心してくださいといったことを伝えておくということが必要ですので、そういったこともぜひ含めてよろしくお願いします。
これに限らず、
高齢者施設の
感染症対策は非常に大事ですので、今後もしっかりと取り組んでいただくようによろしくお願いします。
次に、東洋大学の本県からの撤退表明について知事にお伺いします。
○萩原渉 議長 知事、答弁席へ。
(
山本一太知事 登壇)
◆岩井均 議員 この3月、東洋大学から、板倉キャンパスから県外に撤退するという表明がされました。私も非常にそのときに驚きまして、本当に残念だなというふうに思いました。やはりこれまで長年にわたりまして、この大学の誘致に関わってきてくださった方にとっては断腸の思いだったろうというふうに思います。本当に何とかこの問題を打開をしていきたいなというふうに考えています。
私は西毛に住んでいますけれども、これは板倉町だけの問題ではなくて、やはり群馬県全体の大きな問題だというふうに思っています。やはりこの群馬県から全国に地名度のあるメジャーな大学が撤退ということは、群馬県のイメージダウンにもなりますし、大きな損失になるというふうに思っています。
今回の撤退計画が発表されましてから、経緯について調べました。地元の板倉町の川野辺県議、そして舘野前県議をはじめ、いろんな方々から話を伺いました。そして、知事も就任後、大学の総長をはじめ、いろんな方々と意見交換とか会談をされているということも承知をしています。
やはり大学撤退となると、政治・経済、あるいは教育、文化、スポーツ、いろんなところに悪影響があるというふうに私は考えています。その上、今、国を挙げて地方創生、東京一極集中の是正、こういった課題にも取り組んでいますし、と同時に、
新型コロナの関係で、やはり密から疎というのが今重要でありまして、そういった意味では群馬県は非常にいい場所なので、何かこの辺を打開していく必要があると。
これは何とか白紙撤回まで持っていければ非常にいいなと思っているんですけれども、知事としてこの東洋大学の本県からの撤退表明について、これまでの経過はどうだったのか、また、今後どのように取り組む考えか、知事の考えをお聞かせください。
◎山本一太 知事 御質問ありがとうございました。
地元の川野辺県議は、私の東邑楽後援会の会長なんですけれども、連絡をいただいて、今日は思ったことをそのまま言ってくれというふうに後援会長から言われましたので、少し率直にいろいろなことを言わせていただきたいと思います。
東洋大学の板倉キャンパスが移転をするということを大学側が決めたということは、今、岩井先生がおっしゃったように、私も大変残念に思っています。知事として、東洋大学の群馬県からの撤退、この方針を覆せなかったという力不足は、まず率直におわびを申し上げたいと思います。
その上で言わせていただくと、去年7月に知事に就任して、そのときに担当している副知事の方から、この問題について初めてレクを受けました。もう既にその1年前ぐらいに、この2つのキャンパスを撤退したいという意思表明がある中で、これは誰を批判するつもりもありませんが、何でこんな大事なことを早く手当てしなかったのかというふうに思って、もうこれ以上言いませんけれども、極めて残念に思います。
最初に、7月に前副知事から話を聞いたときに、これはもうなかなか打開は難しいと、率直に言って思いました。そこで、すぐ東洋大学の安斎理事長、これは日銀の理事だったなかなか人格的にはすばらしい方で、福島出身で非常に地方創生にも思い入れのある方なので、この方にすぐ会いました。最初に会ったときは、まだ決まったわけではないと、それだけ知事に情熱があるんだったらば、いろいろまた考えたいというふうにおっしゃったんです。そこで、当時の企画部長、もちろん2人の副知事、みんな集めて、今、県としてできる最大限のことを考えようということで、例えば東洋大学で独自の授業をやるとか、あるいは学生の就職支援をやるとか、あるいは群馬県の農産品について共同研究をするとか、知恵を絞ってプレゼンをつくっていったと。懇談したわけでも、別に会合したわけでもなくて、勝負をかけてプレゼンに行ったんです。そして、東京の東洋大学の学長室まで行って、幹部と一緒にプレゼンをやったんですけれども、そのとき理事長のほうは、いろいろ理事会の意向もあったのかもしれませんし、審議もあるので細かくは言いませんけれども、なかなか取りつく島もなかったということで、極めて残念でした。
そのときに東武鉄道が不便だというようなこともおっしゃったので、すぐに根津総帥にアポを取って、東武鉄道の社長に会ってきました。根津社長も、もともと前の先代の時代から東洋大学には思い入れがあると、自らも理事をやっていたので、実はダイヤの変更も含めて検討していただいたんです。ちょっと遅過ぎましたけれども、検討していただいたんですが、何ともならなかったということで、誰を批判するつもりはありませんけれども、あまりにも対応が遅かったんじゃないかと思って、その点は非常に私も憤りを感じています。
そこで、これはまさしく、今、岩井先生が言った思いを共有していまして、今、データを見たら、東洋大学板倉キャンパスは平成9年に開設されたと。このとき、県は10億円出しています。企業局が23億6,000万円、板倉町が10億円の補助を行ったということで、地元としては多大な支援をやったという経緯もあります。開設後も、これを見ると産学官の連携とか共同研究もやっていて、20年以上にわたって良好な関係をつくってきたと。今回の東洋大学の対応というものは、まるでそういう歴史を輪切りにするかのような配慮のない対応なので、言葉に気をつけなければいけないんですけれども、極めて納得のいかない話だというふうに思っています。ましてや岩井先生がおっしゃったように、もともと東京一極集中を何とかしていかなきゃいけないというのは、安斎理事長も同じお考えなんです。だから、こういう中で地方創生をやっていくという大きな流れにも反することですし、我々が積み上げてきた信頼関係を考えても、地元への配慮があまりにもないじゃないかということで、これも御報告に来られた理事長には、少し失礼だったんですけれども、かなり強く申し上げました。
今、白紙撤回というお話がありましたけれども、白紙撤回は無理だと思います。ただ、今の思いはしっかり受け止めて、知事として厳しく交渉させていただきたいと。これは厳しく交渉させていく中で、しかし、あまり感情的な対立を東洋大学側とすることが戦略的にいいのかどうかということは少し考えさせていただいて、この厳しい交渉の中で、今、岩井先生もおっしゃった、この跡地をどうするのかということも含めて、県としてできるだけの譲歩を引き出すと、我々として次のステップに向かっていくのに何が必要なのかということを少し冷静に交渉させていただければありがたいと思います。
ちょっと興奮して申し訳ありませんでした。
◆岩井均 議員 知事の言われるとおり、少し対応が遅かったというところは否めないというふうに思います。私もお聞きすると、五、六年前からそのような話もあったということも聞いていましたので、やはりそういったところに危機意識を持って取り組んでいけば、また対応も変わったかもしれません。ただ、昔のことを言ってもしようがないので、これから何をするかが非常に大事であって、今、知事が撤退の白紙撤回は無理だということを言われましたけれども、我々からすると、3月に聞いたばかりで、もう無理だと言われても、これから始まるんじゃないかと我々は思ったわけですね。ところが、知事が今まで何回も頑張ってこられて、先ほどあったように、理事長とも何度も会ってという話も、群馬県からの提案もされたということも聞きました。そういう中で、それでもやっぱり群馬県のイメージダウンというのは計り知れないものがあるというふうに思います。
もう大学の中期計画の中にも跡地利用の検討というのが入っていましたから、そういった意味では、もうそっちにシフトしているんですね。でも、群馬県としては、もちろん東洋大学も大事ですけれども、我々が思っているのは、やっぱり群馬県をいかによりよくしていくか。例えば、知事が今までの参議院議員の経験も活かして、例えばほかの大学を群馬県に誘致するんだとか、あるいは国際機関を持ってくるんだとか、これだって非常に大変なことですけれども、そういった新しい構想、ここだけじゃなくて、もうちょっと大きな構想というものを取ってもらうと、非常に、我々議会としても、いいなと思うんですね。
今回はそういうことですけれども、やはり板倉町も、地元もしっかりと頑張ってもらわなくちゃいけません。そういった意味では、やはり群馬県と板倉町と連携をしながら、この前、強い提案もされたということですけれども、このよりよい提案というものもしっかりとやってもらいながら、これから粘り強い交渉をしてもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
◎山本一太 知事 先ほどは私の判断を率直に、岩井先生だから申し上げたので、今から白紙撤回しろという形で対応していくことが本当に群馬県にとっていいのかどうかということはよく考えさせていただきたいと思いますが、しかし、今、岩井先生がおっしゃったことは、文字通り県議会の意思であり、あるいは東洋大学との関係を築いてきた板倉町とか館林市とか、こういう方々の総意だと思うので、白紙撤回してくれと、こういう強い要望があったということはしっかり受け止めて、それもこれからの交渉に活かさせていただければと思います。
それから岩井先生おっしゃったように、もう過去のことを言ってもしようがないと、そのとおりなので、ただ私の思いを申し訳ないけれども述べさせていただいたというわけで、御無礼があったらおわびしたいと思いますが、もう別に過去のことは考えておりません。今おっしゃったように、もしこれから交渉していくプロセスで、岩井先生がおっしゃったように、もう少し群馬県の未来構想の中で、この可能性というものを広げられるのであれば、そういう様々な構想もにらみながら、しっかり知事としてこれから交渉させていただければというふうに思っています。(「お願いしますよ」と呼ぶ者あり)
◆岩井均 議員 ぜひよろしくお願いします。ボールは、やはり私は県側にあると思うんですね。所有権がある東洋大じゃなくて、県側にあると。県がいかにこれからやるか。4年後には撤退という計画になっていますから、何もしなければ1年、2年すぐ経過してしまいますので、そういったところをぜひ知事が先頭になってやっていただくようによろしくお願いします。
また議会でも、知事1人じゃないですから、議会からも応援をしますので、議長もそういったところ、ぜひそんな形の場を設定していただければありがたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
それでは教育改革について、教育長お願いします。
○萩原渉 議長 教育長、答弁席へ。
(笠原 寛教育長 登壇)
◆岩井均 議員 最初に、
高校入試制度の改革についてお伺いします。
新型コロナ対策で決断する日々が続いておりまして、心から敬意を表します。それでも、2問、質問します。
〔資料②提示〕このパネルは、関東地方の令和2年度の
高校入試制度の状況です。入試方法は1回と2回があるんですけれども、1回入試が増えています。2回の入試というのは、栃木、群馬、千葉、東京です。1回の入試が茨城、埼玉、神奈川で、千葉は来年度からは1回入試に変更をすることになっています。
群馬では前後期の試験を行っているんですけれども、生徒には2度チャンスがあるという一方で、前期対策、後期対策をしなければならないといった大きな負担もあります。
ということで、高校入試を一本化することで、中学校における授業時間が増えたりすることが考えられますけれども、群馬県としての考えはいかがでしょうか。
◎笠原寛 教育長
高校入試制度のお尋ねでございますが、本県の高校入学者選抜につきましては、各高校がそれぞれ掲げております教育目標や特色等を踏まえ、その学校にふさわしい生徒を適切に選抜するという趣旨の下、多様な観点によります選抜や、生徒一人ひとりのよさを積極的に評価する方法等について、これまで不断の見直しを行ってまいりました。
今お話しございましたが、現在の前期・後期の制度につきましては、平成12年度入学者選抜から全ての受験生が2回の受験の機会を得られるよう、それまで行っておりました推薦入学を廃止いたしまして、前期選抜といたしました。また、平成29年度入学者選抜からは、中学校段階におけます基礎的、基本的な内容についての学習到達度を評価する観点から、前期選抜におきまして、国語、数学、英語の3教科の学力検査等を実施しております。
選抜制度の見直しにつきましては、昨年度、教育委員会で開催をいたしました高校教育改革に関する有識者委員会におきましても、現行制度の意義や課題の検討をお願いしてきたところでございまして、日程の一本化については、今、御指摘がありましたが、中学生の心的負担の軽減や志望校の明確化などメリットに関する御意見があった一方で、やはりこれまでどおり複数の受験機会を維持することが望ましいとの御意見も伺っておるところでございます。
このように入学者選抜制度につきましては様々な御意見がある中ですので、受験におけます中学生の負担や中学校及び高校の授業時間の確保の観点等も踏まえ、中学生にとりまして、よりよい進路選択につながるよう、より適切な選抜制度のあり方をさらに広く意見をお伺いしながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。
◆岩井均 議員 今の答弁で、一本化を含めて検討するという内容だったと思います。私も一本化のほうがいいなと思っていますので、ぜひメリット、デメリットをしっかりと検討して、子どもたちのためになる入試制度に改革をしていただくようによろしくお願いします。
もう1点ですけれども、公立高校の出願制限に、高等学校等に在籍している者の出願は認めないという項目があるんですね。ということは、ケースとしては少ないかもしれないんですけれども、ある高校を受験する場合には中学浪人をしなければいけない。それか高校に行っていて途中で辞めて、そして新しい高校を受けなくちゃいけないというのは、子どもたちは非常にかわいそうですね。辞めてから受けて、結局、落ちたら行くところがなくなっちゃうという状況なので。これを見ても、今言ったような制限があるのが群馬、埼玉、東京、神奈川ですけれども、ないのも茨城、栃木、千葉ということで、こういったところで運用上はあるような話も聞いていますけれども、やはり門戸を開くような形というのを取るべきだと思いますので、そういったところをぜひこれから前向きに検討してください。
ということで、ちょっと2問目に移ります。この中学校における評定、内申点の公平性確保についてです。
今、本県でも他県でも、中学校間で大きな評定格差が生じているということが問題になっています。それは相対評価から絶対評価に改革されたことが大きいということがあります。
やはり教員も人間ですので、そのときの感情だとか体調によって生徒の評価が変わることは否定できないというところがあります。現場の話を聞きますと、校長の考え方が非常に大きいんですね。相対評価を念頭に置いている校長というのは、5から1までの相対評価的なバランスを重視するんですよ。ところが、今の絶対評価のところは、別にバランスじゃなくて、いいものはいいということで、もっと増やすんですね。そういったところがあります。
〔資料③提示〕このパネルは、千葉県のA市の状況です。この一覧表を見たほうがいいと思っていますので説明しますけれども、千葉県のA中からJ中の10の中学で、横軸が教科です。それで平均点、5段階評価の平均点です。点数差が最も少ないのが技術・家庭の0.3、最も多いのは体育の0.9で、C中の体育4.5が非常に高いんですけれども、これは生徒数が26人ということで、小規模のところなので、これはあまり問題ないだろうというところですね。そういったことを考えると、小規模校のほうがより評価が高めに出る傾向があるのかなという感じはしています。
問題は右側で、B中が平均値91ですね。3年間の平均値です。それに対してC中は101と、10点違うんですね。となると、自分のレベルに合った高校を受験した場合に、やっぱり一、二点差でかなり当落が、合格か不合格かが決定するんですよ。この10点差は非常に大きいんですね。そういった意味で、出身中学において大分違うというところがあるんですけれども、この評定格差について、本県の状況はどうなっているか、また中学の内申点は高校入試で使用される得点であり、何よりも公平性、公正性が真に確認された得点でなければいけませんが、評定の公平性をどのように確保する考えか、お聞かせください。
◎笠原寛 教育長 中学校におきます評定についてのお尋ねでございますが、現在、中学校におきましては子どもたちが各教科において学んだ内容の定着状況を把握するため、5段階による評定が用いられております。
評定につきましては、今、議員からもお話しございましたように、子どもたち一人ひとりの学習の状況を学習指導要領の目標に照らし合わせた観点によります、いわゆる絶対評価の形で行っております。学習評価につきましては、国が各教科ごとに参考資料を作成しておりまして、本県におきましても、この参考資料に従って各学校の中でも公平で信頼される評価を行うべく、教員間で検討を重ねながら適切に評価しているものと認識しておりまして、先ほどのような学校間での格差は生じていないものと考えております。ただし、御指摘のとおり、中学校の評定につきましては、高校の入学者選抜等の重要な資料にもなりますことから、常にその精度を高めていく必要があると考えております。
中学校におきましては、来年度から新しい学習指導要領が全面実施になることに伴いまして、これまで各教科ごとに定めておりました評価の観点が、全ての評価で3つの共通した観点であります、1つは知識・技能、2つ目が思考・判断・表現、そして3つ目が主体的に学習に取り組む態度に変更になります。このため、各学校におきまして改めて適切な評価を確立することが求められておりますことから、教員には具体的な評価方法を習得するための研修が必要と考えております。
県教育委員会では、本年度、県中学校長会や各教科の教員によります教育研究会とも連携をしながら、評価について広く研究を進めておりまして、共通の理解を図るための説明会を開催することといたしております。今後、新しい観点による評価となりますが、全ての教員が適切な評価を行うことで、引き続き中学校の評定の公平性を保ち、信頼されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◆岩井均 議員 時間があればもうちょっとやりたいんですけれども、やはり格差がないというのは、私は逆に言うとあり得ないと思います。学力検査であれば、もうそこで平等に点数が出ます。ところが内申点というのは、A先生とB先生の評価が全く一緒ということはあり得ないわけです。人間が違うわけですから、評価であり得ない。そういったところをもう一度、より公平になるように、これは子どもたちのためなので、より公平になるような制度をつくってもらいたいと思います。100%の精度はあり得ないですから、いかに100%に近づけるか、ぜひそのことを今後検討するようによろしくお願いします。
○萩原渉 議長 残り5分となります。
◆岩井均 議員
スポーツ局長、お願いします。
○萩原渉 議長
スポーツ局長、答弁席へ。
(武藤 勉
スポーツ局長 登壇)
◆岩井均 議員
スポーツ人材の就職支援についてお伺いします。
昨年の一般質問でもこの問題を取り上げました。そして、局長のほうからは非常に前向きな答弁をいただいたわけですけれども、この県内出身の
スポーツ人材の就職支援についてどのように取り組む考えか、お聞かせください。
◎武藤勉
スポーツ局長 御質問にお答えします。
県内では、既に野球やソフトボールなどのスポーツチームを持っている企業でございますとか、陸上、フェンシングなどの選手個人を支援している企業などもございますが、スポーツ選手の県内定着をさらに後押しするために、全国規模の大会で上位の成績を収めた選手を対象といたしまして県内企業とマッチングさせる事業に取り組むこととして、事業化したところでございます。
現在、県を窓口とする無料職業紹介を行うための手続を進めておりまして、今後、選手活動をサポートする企業の掘り起こしとともに、県内を拠点として活動を続けていきたいという選手の意向調査を行ってまいりたいというふうに考えております。企業にとっても、有望なスポーツ選手の支援・サポートは、企業イメージの向上、選手の活躍を応援することによる社員の一体感の醸成、士気高揚につながるといった効果も期待できますので、サポート事例を広く産業界に周知していきたいというふうに思います。
県内を拠点とする選手が活躍することで、
本県スポーツ界、産業界の活性化につながるよう、また、そうした選手の活躍が次世代を担う子どもたちの目標となって好循環につながるように、関係部局や県スポーツ協会、競技団体、また産業界と一緒になって取り組んでまいりたいというふうに考えております。
◆岩井均 議員
新型コロナの影響もあるので、なかなか難しい点があろうかと思いますけれども、ぜひ産業経済部と連携をして、そして新しい正式の事業名をつけて、しっかりとこの事業に取り組んでいただくようによろしくお願いします。
地域創生部長、お願いします。
○萩原渉 議長
地域創生部長、答弁席へ。
(角田淑江
地域創生部長 登壇)
◆岩井均 議員 碓氷峠周辺の
歴史文化遺産及び松井田城址の保存活用についてお伺いします。
群馬デスティネーションキャンペーンの目玉事業のひとつが、信越本線横川・軽井沢駅間の廃線ウォークでした。これが残念だったんですけれども、いよいよ6月7日から再開することが決定しましたので、ぜひ多くの方々に足を運んでいただければありがたいと思います。
3年前の一般質問でもこの問題を取り上げて、そして松井田城址についても、今回取り上げますが、碓氷峠周辺の
歴史文化遺産の保存と活用について、県の支援策やその状況はどうか、また、国による史跡指定を含めた松井田城址の保存と活用に係る県の支援についてお伺いします。
◎角田淑江
地域創生部長 お答えいたします。
碓氷峠周辺は本当に多くの
歴史文化遺産があり、地元の方々の御努力で良好に保存活用がされてきているというふうに認識をしております。
まず、碓氷峠周辺の中山道の国の史跡指定に向けてでございますけれども、現在、県では国とともに安中市が進めている計画策定に対する補助を行っておりますほか、指導、助言を行うなど指導してきておりまして、おおむね順調に進んできているというふうに認識をしております。
○萩原渉 議長 残り30秒となります。
◎角田淑江
地域創生部長 松井田城址につきましては、地元の方々、保存会をつくるなどして活発な活動が行われております。安中市の調査研究、これからというふうに聞いておりますので、今後の取組に合わせた支援を行っていきたいと考えております。今後も、地元、安中市と十分連携をしながら、魅力あるこういった遺跡の保存活用を積極的に進めてまいりたいと考えております。
○萩原渉 議長 時間です。
◆岩井均 議員 安中市、そして関係団体とも連携を取って、ぜひ群馬県の最大限の支援をお願いしまして私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○萩原渉 議長 以上で岩井均議員の質問は終わりました。
● 休 憩
○萩原渉 議長 暫時休憩いたします。
10分後に再開いたします。
午前10時46分休憩
午前10時56分再開
● 再 開
○萩原渉 議長 休憩前に引き続き会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
● 質疑及び一般質問(続)
○萩原渉 議長 福重隆浩議員御登壇願います。
(福重隆浩議員 登壇 拍手)
◆福重隆浩 議員 公明党の福重隆浩です。
まず、
新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられました皆様に心からのお悔やみを申し上げますとともに、療養中の皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして、自らも感染のリスクを抱えながら強い使命感を持って全力で戦っていただいている医療従事者の皆様、また、私たちの日常生活を支えるため、様々な立場で働いてくださっておられる皆様に心からの感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
さて先日、政府は緊急事態宣言の全面解除を表明し、社会は感染リスクの不安を感じながらも、新たな日常に向けた一歩を踏み出しました。我々は宣言解除に気を緩めることなく、今後も医療や検査体制を強化し、感染防止対策の徹底を図っていかなければなりません。あわせて、これまでの行動制限によって経済が萎縮し、多くの方々が社会のセーフティネットからこぼれ落ちてしまう事態を一日も早く改善しなければなりません。
私は
新型コロナウイルス感染症を前提としながら、県民が前に向かって進んでいく社会のあり方について、知事及び執行部の皆さんに質問をいたしますので、県民の命を守り、経済の再生を果たすとの思いで御答弁をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
まずは、行政におけるテレワークの推進や申請における県民の利便性向上の取組について
知事戦略部長に質問いたします。
○萩原渉 議長
知事戦略部長、答弁席へ。
(田子昌之
知事戦略部長 登壇)
◆福重隆浩 議員 行政におけるテレワークの推進や、このことについてお伺いをします。
新型コロナウイルス感染症の拡大の防止については、人との接触機会や人の移動を減らすことが有効な対策だと言われております。現在、このコロナ禍で行われている県庁のテレワークは、人との接触を回避する緊急避難的な対応であり、この取組を本格的に定着させることは、情報漏えい等のセキュリティー対策にも慎重に取り組むことはもちろんのこと、膨大な文書の電子化と脱印鑑の対策をしっかり行うことが重要であると思います。
また次に、県民との行政の接触機会を考えてみると、これまで様々な申請について、県民や事業者の皆さんが提出のために役所に訪れておられます。一例を挙げると、最近いただいた御相談で、訪問理容師の方が訪問先の
高齢者施設やお体が不自由な方の御自宅に伺う場合、訪問先が増えるたびに、それぞれの地域の保健所に書類を提出に行かなければならないというお話をいただきました。
こういった申請について、ウィズコロナを見据え、また、県民の利便性向上の観点から電子申請を進めるべきと考えますが、部長の御所見をお伺いいたします。
◎田子昌之
知事戦略部長 お答えいたします。
新型コロナウイルス感染防止対策として、現在、県職員についても在宅勤務によるテレワークに取り組んでいるところでございます。緊急事態宣言が解除され、経済活動が段階的に再開されていきますが、
新型コロナウイルスの第2波や収束後の社会においても、テレワークは、
感染症対策はもとより、業務の継続性確保の観点から有効であると認識しております。そのため、県庁職員については、引き続きテレワークに取り組んでまいります。
テレワークを定着させるためには、持ち出すデータの取扱いやパソコンのOSのアップデート、ウイルスソフトの利用など、セキュリティー対策に万全を期すことが重要であります。また議員御指摘のとおり、その阻害要因となる紙や押印を基本とする現在の仕事の進め方を見直し、電子起案による文書の電子化を推進することも不可欠であると考えております。
特に電子申請は時間と場所を選ばず、行政手続ができることに加え、非対面で行うことができることから、県民の利便性の向上のみならず、感染症拡大防止にも有効であります。現在、県と27市町村共同で、ぐんま電子申請受付システムを運用し、電子申請を推進しているところであります。これをさらに実効性のあるものとするためには、押印の見直しや添付書類の廃止などを同時に進める必要があります。今後、全庁的な実態調査も行っていく予定であります。
今年度、次期行政改革大綱を策定する予定ですが、押印の見直しや電子起案、電子申請をはじめとした行政のデジタル化は大きな取組の一つに位置づけたいと考えております。岡田CDO、チーフ・デジタルトランスフォーメーション・オフィサーのアドバイスもいただきながら、しっかり進めてまいります。
◆福重隆浩 議員 ありがとうございます。
報道によりますと、サントリーホールディングスさんが関連会社を含めて9割の7,000人の社員が、この解除後も今テレワークを続けていると。これが今まで判こを押すために出社しなくちゃいけなかったんだけれども、これを電子決裁に変えることによって、6万時間の業務削減ができるというようなことも言われておりますので、県庁の働き方改革という意味でも、ぜひこういった問題を進めていただき、県民の利便性を向上していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、県証紙の廃止とキャッシュレスの公金収納について、会計管理者にお伺いをいたします。
○萩原渉 議長 会計管理者、答弁席へ。
(福田芳美会計管理者 登壇)
◆福重隆浩 議員 私は、平成23年11月の定例会の一般質問において、県民の利便性の向上や売りさばき手数料や印刷費の経費削減の観点から県証紙の廃止を提案させていただきました。これを受けて、県では全庁的に県証紙による手数料の納付方法の見直しに着手していただき、平成25年には県証紙でしか納付できなかった94条例、608手数料のうち、県立高校の受験料や免許更新時の手数料など、条例数で約9割に当たる87条例、手数料の数では約8割に当たる481手数料について、約2,800を超える身近な金融機関で払込書による納付が可能となり、令和2年3月31日現在では、98条例、630手数料に増加していると伺っております。しかしながら、ウィズコロナ、新しい生活様式と大きく社会が変わる中にあって、県庁の業務についても、やり方を一から見直し、キャッシュレスの時代に乗り遅れないよう、県証紙の廃止を含め、時代に即した収納方法を検討すべきと考えますが、会計管理者の御所見をお伺いいたします。
◎福田芳美 会計管理者 それでは、お答えいたします。
県への手数料等を納付する方法として、昭和41年度から収入証紙による納付制度を導入しているところでございますが、県民の利便性の向上を第一に、収納事務の効率化、経費節減の観点から、様々な改善を行ってきたところでございます。
例えば県立学校の受験料や入学料などについては、収入証紙による納付に加えまして、銀行の窓口で納付できる払込書を導入したほか、納付金額の総額が大きい運転免許関係手数料については、警察本部と検討を重ねまして、平成28年10月から現金収納に変更するなど、平成23年度から令和元年度までの9年間で約4,000万円を削減することができました。
収入証紙条例の施行後、50年以上が経過しておりまして、議員御指摘のとおり、時代の変化とともに公金収納のあり方が問われる中で、県では、収入証紙制度につきまして、さらなる見直しを進める必要があると考えております。
しかしながら、収入証紙制度そのものを廃止するということには、解決すべき課題があることも事実でございます。そこでまず、証紙の利用者に対するアンケートを行いまして、県民ニーズの把握に努めるとともに、県の本庁の各所属における手数料等の収納について、証紙に代わる方法を検討することとしまして、関係者への調整に着手したところでございます。加えまして、従前からの取組である証紙販売者への販売手数料の削減を図るため、払込書の利用促進について関係者への働きかけを強化してまいります。さらに、先ほど話題となっておりました電子申請制度に伴う電子納付につきましても、関係部局と連携を図っていきたいと思います。
いずれにしましても、デジタル化の進展の中で、県民の利便性の向上を第一に考えまして、収納方法の多様化等について、収入証紙のあり方を含め関係部局と検討を進めていきたいと考えております。
◆福重隆浩 議員 御答弁ありがとうございました。私は経費削減の観点も含めてこの提案をさせていただき、4,000万円の効果があったということで感謝を申し上げます。ただ、いまだに1億円ぐらいがこの関係に使われているんだろうというふうに思っております。本当に財政厳しい折、前橋市ではスマホによる電子商品券なんていうのも始められたと聞いておりますので、様々な先進事例を研究されて、ぜひこの問題についてお取組をいただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。会計管理者、ありがとうございました。
次に、ICT環境の整備について教育長に質問いたします。
○萩原渉 議長 教育長、答弁席へ。
(笠原 寛教育長 登壇)
◆福重隆浩 議員 現在、
新型コロナウイルス感染症拡大の防止の観点から、県内の小中学校や高校において休校が実施をされております。山本知事は、
新型コロナウイルスとの戦いが長期化することを想定し、全国に先駆けて県立高校で1人1台のパソコンの導入を決断されました。また、昨日の上毛新聞において、県と市町村が連携し、小中学校におけるパソコンの整備を進めていくことも報道されておりました。
私は、パソコンの導入に当たっては、通学できないときの代替手段にとどまらず、日本が遅れていると言われているプログラミング教育のレベルアップや様々な学習効果が期待できると思っております。
そこでお伺いいたしますが、県立高校におけるパソコンや無線LANの整備の具体的なスケジュールについてお伺いをいたします。
また、小中高のパソコンの整備の進め方については、御答弁は結構ですので、御家庭の通信費の負担はどうなっているのか、御答弁をお願いいたします。
◎笠原寛 教育長 ICT環境の整備についてのお尋ねでございますが、県立高校におきましては、本年度進めようとしておりますICT環境の整備でございますけれども、一定の入札期間の確保や、また議会の議決など所要の手続が必要となりますほか、テレワーク等の推進に伴います需要の高まりもありまして、現時点で導入時期の明確な見通しを立てることが難しい状況になってございます。
そうした中で、まずは契約の準備を遅滞なく進めることが大変重要だと考えておりまして、現在、入札公告の準備を行っております。単なるハード整備にとどまらず、学習支援の内容や生徒の学習意欲を高める仕掛け等についてより多くの企業から総合的な提案をしてもらうべく、手法の検討を急ピッチで進めているところでございまして、必要な審査を実施の上、8月中には仮契約を締結したいと考えております。
なお、
授業支援ソフトウエアは、ライセンスを付与いたしますと、生徒所有のパソコンや自宅のパソコン、またスマートフォンでも使えるようになりますことから、パソコンの配備や無線LAN工事の完了に先行して使用することなど、利用可能な部分から活用を進めてまいりたいと考えております。
そして、小中学校等も含めた家庭におきます通信費の問題でございますけれども、家庭におきます通信費につきましては、基本的には各御家庭で負担をしていただきたいと考えておりますが、生活保護世帯など低所得者の方に対しましては、国のほうで教育扶助として支給をする通信費の中に他の教材と同様に支給する取扱いも可能との国の考え方が示されております。こうした制度の活用を図っていただきたいと思いますので、市町村教育委員会のほうにもしっかり周知を図ってまいりたいと考えております。
新型コロナウイルスにつきましては、第2波、第3波があることも危惧されております。今後とも議会の御協力をいただきながら、スピード感を持って対応いたしますとともに、市町村とも緊密に連携をいたしまして、休業中においても、群馬の子どもたちが質の高い学びを続けられるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◆福重隆浩 議員 通信費というのは、Wi-Fiを入れると、やっぱり5,000円ぐらいかかるのかなと思っております。そういった意味では、経済格差が教育格差につながらないように、こういったところの支援もしっかり県と市町村連携してやっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
引き続き、
授業支援ソフトと教員の指導力向上について質問いたします。
県では、市町村を支援するため
授業支援ソフトの購入費について補助をすることを表明されております。ソフトによっては、復習の効率的なサポートや、AIを駆使し、生徒がどこの単元において理解につまずいてしまったのかを分析してくれるものがあると伺っております。
そこでお伺いいたしますが、ソフトについてはどのようなものを考えておられるのか、あわせて小中学校から高校までの学習の連続性が確保されているのか、お伺いいたします。
また、
オンライン授業の成否はデジタル化における教員の指導力の向上が重要であると思います。この点についてどのように取り組まれているのか、御所見をお伺いいたします。
◎笠原寛 教育長 ソフトウエア等についてのお尋ねでございますけれども、現在考えておりますソフトウエアにつきましては、全ての学年の教科学習等で使います
授業支援ソフトウエアを考えておりまして、県立高校でのソフトウエアとの連携が小中学校においても図れるものを導入したいと考えております。このソフトウエアの活用を通して、義務段階から高校まで、それぞれの児童生徒に個別最適化した教育の推進がより一層可能になるものと考えております。通常の授業におきましては、情報収集が容易となり、さらに個別の進度に応じた学習がさらにきめ細やかにできるものと考えております。
また、臨時休業中につきましては、学校と家庭をオンラインでつなぐことによりまして、教室と同じようなやりとりが可能となります。このように、臨時休業の際にも、通常と同様の授業を家庭において受けられるようになります。子どもたちの学びを保障することができると考えております。
一方で、このような
オンライン授業を充実させるためには、教員の指導力の向上が重要かつ不可欠、そして急務であると考えております。今年度、ICT活用指導力を高める研修を予定しておりましたが、やはりここまで臨時休業が続いてきた中で、早急な対策の必要性を強く感じているところでございまして、この研修等を前倒しをいたしまして、夏休みの時期から実施をしたいと考えております。
今後、県内全ての公立小中学校並びに県立高校におきまして、ICT環境の整備が整いますことから、義務教育段階から高校段階まで切れ目のない質の高い教育を続けることにより、新しい時代に求められる情報活用能力に加え、思考力、判断力、表現力等を備えた人づくりができるよう、教育の充実にさらにしっかりと努めてまいりたいと考えております。
◆福重隆浩 議員 教育のICT化によって群馬県の教育レベルが上がることを切に期待をいたしますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。教育長、ありがとうございました。
続きまして、
高齢者施設における
新型コロナウイルス感染症対策について、
健康福祉部長に質問いたします。
○萩原渉 議長
健康福祉部長、答弁席へ。
(
武藤幸夫健康福祉部長 登壇)
◆福重隆浩 議員 先日、
高齢者施設の職員の方から施設において感染者を絶対に出さないとの固い信念の下、具体的な対応についてお伺いをいたしました。改めて、介護現場で御奮闘していただいている皆様に感謝を申し上げます。
さて、
新型コロナウイルス感染症については、高齢者が重篤化しやすいことや介護の業務が3密のひとつである密接な介護であることなど、
高齢者施設における感染防止対策は極めて重要な問題であると思っております。
そこでお伺いをいたしますが、
高齢者施設におけるクラスター対策についてどのような取組が行われているのか、御答弁をお願いいたします。
◎武藤幸夫
健康福祉部長 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、高齢者の施設ではサービスの性格上、その中で1人感染者が発生いたしますと、クラスターに発展する可能性が高く、
感染症対策は極めて重要だというふうに考えております。
それで、いろんなポイントがあるんですけれども、まず、その施設内で異常を素早く感知する必要があると考えております。こういったことから、現在、各施設から毎日、発熱やせきなどの呼吸器症状がある入居者や職員の数を県のホームページから報告していただくシステムを4月22日から、まずは県の所管の施設等から始めさせていただきました。
原則として、発熱者等が複数いる施設に対しましては電話で状況を確認いたしまして、保健所と情報共有するほか、報告のない施設に対しましては、メール等で確認を行っております。5月中には中核市を含めた全市町村の協力をいただきまして、県内全ての介護サービス、そして障害者サービスの施設、約1,530ほどございますけれども、これを対象としてスタートいたします。
このほかの取組といたしましては、先ほどの一般質問で、マスク等の防護具等の備蓄を行っていることを申し上げましたが、そのほか介護現場では一般的に
感染症対策の具体的な知識や経験が十分でない場合もございます。具体的に何をすればいいのかということがよく御存じないところもあるやに聞いております。そういった点から、専門家を介護施設に派遣いたしまして、
感染症対策のアドバイス等を行う事業を開始いたしました。
また、県立病院の協力の下、福祉施設における
感染症対策のポイントをまとめた動画を作成いたしまして、県のユーチューブの公式チャンネルtsulunosで配信をしているところでございます。さらにメンタル面をサポートする意味でも、感染症のリスクと向かい合いながら業務をしている介護職員の負担軽減、離職防止を図るため、様々な現場の悩み等の相談に応じます群馬県介護職員相談サポートセンターを開設いたしました。これらの取組によりまして、
高齢者施設等におけます感染症の防止対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆福重隆浩 議員 いろいろな取組、ありがとうございます。私も教えていただいて、福祉施設等における感染対策の動画、昨日見させていただきました。大変分かりやすく、また、こういったこと、私の知り合いの介護施設の方に聞いたら、我々も十分勉強をしていますというようなこともおっしゃっておられましたので、ぜひ今後とも、こういった施設を守っていただけますようよろしくお願い申し上げます。部長、ありがとうございました。
次に、危機的状況にある飲食業の皆さんに対する支援について、
産業経済部長にお伺いをいたします。
○萩原渉 議長
産業経済部長、答弁席へ。
(鬼形尚道
産業経済部長 登壇)
◆福重隆浩 議員 今回の
新型コロナウイルスの影響により、様々な業界の皆様が厳しい経営を強いられております。特に飲食業については外出自粛が長期にわたり、家族以外との食事会や飲み会などが控えられたことにより、宣言が解除されても、いまだ客足は戻らず、廃業に追い込まれる店が増えております。
このような中、多くの飲食店が感染拡大防止の観点から新しい生活様式を取り入れ、マスクの着用、こまめな換気、人の飛沫がかからないよう座席の間隔を十分開けるなど、業界でまとめられた
ガイドラインに基づき営業を行っておられます。ただ、人との距離を離すためには、座席数を半分にすることとなり、大きな減収になっているお店や、飛沫防止シートや空気清浄機などを設置するなど、新たな出費を強いられた店も多くあります。
私は、厳しい経営環境の中で頑張っておられる皆さんを県がしっかりと支援していくことが必要であると思っております。ぜひ外出自粛により経営環境が悪化している中、感染拡大防止対策に取り組んでおられる店舗に対して、改修費等の一部を助成し、あわせて
ガイドラインを満たしている店舗に対して、入店前でも客が分かるよう業界団体と連携し、丸適マークなどを定めるべきと考えますが、部長の御所見をお伺いいたします。
◎鬼形尚道
産業経済部長 お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない中、多くの県内の事業者の皆さんが事業継続に不安を抱いておられます。特に飲食店においては、外出自粛やイベントの中止などによりまして客足が途絶え、極めて厳しい状況に置かれていると認識しております。県が設置いたしました産業経済ワンストップセンターへの相談においても、全体の約3割が飲食業関係からのものでありまして、業種別でも最も多くなっております。
こうした中、県では、営業時間の短縮に御協力いただきました事業者の皆様に事業継続のための支援金20万円を支給することといたしました。加えて、新たな制度融資といたしまして、
新型コロナウイルス感染症対応資金を創設いたしまして、中小・小規模事業者の資金繰りを支援しております。また飲食店関係団体や市町村とも連携いたしまして、Gunma Takeout O-enプロジェクト、通称GTOと呼んでおりますけれども、こうしたプロジェクトも立ち上げまして、安全・安心に配慮したデリバリーやテイクアウトの普及促進も図っているところでございます。
緊急事態宣言が全面解除されまして、経済活動が段階的に再開される中、今後、飲食店においても、感染拡大防止のための3密対策の徹底や、新しい生活様式を踏まえた店舗運営が求められております。こうした点を踏まえまして、県といたしましては、商工会、商工会議所等の支援機関とも連携いたしまして、例えば業界団体等が独自に策定した
感染症対策ガイドラインに基づき、前向きな対応を行う事業者や業界団体の取組などに対し、国の補正予算措置等の内容なども見極めながら、必要な支援策を今後検討してまいりたいと考えております。
◆福重隆浩 議員 今、本当に3割が飲食業の皆さんからの御相談ということで、県もそういった厳しさというのを深く認識していただいているんだなというふうに思います。そういった意味では、具体的な支援策を今後早急に煮詰めていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
引き続き、宿泊業に対する支援についてお伺いをいたします。
言うまでもなく、ホテルや旅館などの観光業は本県産業の大きな柱のひとつであります。しかし、感染防止の観点から外出自粛や県外からの移動が制限されたことによって、観光業はいまだかつて経験したことのない苦境にあえいでいます。
4月22日の時点での調査では、キャンセルが人泊で約38万5,000人泊、金額換算で約40億2,000万円、予約状況は前年比でおおむね1から4割程度と大変厳しい状況となっております。政府では、観光業の需要喚起を目的に1兆7,000億円を予算化し、宿泊やお土産、飲食店で割引が受けられるGoToキャンペーンを7月末から8月頃からスタートすると言われております。
このような中、観光のカリスマと言われる星野リゾートの星野代表は、今後も感染拡大の第2波、第3波の発生と、今回のような自粛と緩和が繰り返される。このような中にあって、マイクロツーリズム、地元での観光旅行が拡大すると予測している。その理由は、県境を超える遠距離の移動の自粛要請が続く中で、公共交通の利用を避けて自家用車で行ける近距離の旅行の需要が増えると見込んでいるとのこと。私も全く同感であります。
そこで、一定の期間、マイクロツーリズムの機運を盛り上げ、県内観光業を支援していくことが必要であると考えます。ぜひ県外からの移動が制限される中、県民の県内宿泊を促すような施策を講じるべきと考えますが、部長の御所見をお伺いいたします。
◎鬼形尚道
産業経済部長 新型コロナウイルス感染拡大によりまして、県内経済はあらゆる分野において多大な影響が出ております。特に本県産業の主力のひとつであります宿泊業におきましては、緊急事態措置による外出自粛要請等によりまして、予約キャンセルが相次ぎ、過去に例を見ない甚大な経済的損失が発生しております。
今月25日に全国で緊急事態宣言が解除されましたけれども、同日に示された基本的対処方針では、観光目的の人の移動については、当面は県内にとどめることとされております。また本県への観光客が多い東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県との人の往来につきましては、7月末までの間で段階的に解除していくこととされております。明日30日に本県独自の
ガイドラインに基づき、警戒度を3から2に引き下げたとしても、直ちに首都圏の方々を対象とした誘客活動に取り組むことは難しいと考えております。
こうした状況を踏まえますと、まずは県民の皆様に県内宿泊を促すことは重要な視点でありまして、観光関係団体からも県内需要を喚起させるような支援策をぜひ検討してほしいという要望が寄せられております。
観光業は極めて裾野の広い産業であり、取引先は飲食、サービス、物販、輸送など広範な分野に及びます。あわせて温泉地等の旅館・ホテルは、本県観光を支える最も重要なインフラのひとつであり、宿泊業への支援は、本県経済を回復させる上で大きな波及効果が期待されます。県といたしましては、御提案の取組を含めまして前向きに検討してまいりたいと考えております。
◆福重隆浩 議員 前向きに検討いただけるということで、大変にありがとうございます。本当に厳しさを共有できているということに感謝を申し上げます。
先ほどの星野代表の言葉に、観光はウイルスとの戦いで疲弊した人の士気を高められるはずだ、と言われております。まさに長期化するウイルスとの戦いで、県民に県内のすばらしい観光地で英気を養っていただくことは大変有意義な取組であると思っております。ぜひ具体的な施策を御検討いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。部長、ありがとうございました。
次に、ウィズコロナにおける避難所のあり方について危機管理監に質問いたします。
○萩原渉 議長 危機管理監、答弁席へ。
(吉田高広危機管理監 登壇)
◆福重隆浩 議員
新型コロナウイルスの完全な収束が見通せない状況にあって、これから本格的な梅雨や台風シーズンを迎えます。昨年の台風19号では、本県においても約3万6,000名の方が一時的に避難を余儀なくされ、いくつかの避難所では収容し切れないほどの過密状態であったと聞いております。その意味において、避難所の感染防止対策については、県と市町村が連携し、早急に取り組まなければならない課題であると思っております。
そこでお伺いをいたしますが、県内では1,600か所の避難所が指定されておりますが、3密対策として、いかに密集密接にならないよう避難者のスペースを確保するのか、また、あわせて、これまでの備蓄品に加えて、マスクや消毒液、体温計など感染リスクを避ける備品などの備えが必要と考えますが、県としてどのように取り組まれるのか、御答弁をお願いいたします。
◎吉田高広 危機管理監 お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症が完全に収束していない中で、豪雨ですとか地震などの自然災害が発生し、避難所に住民などが集中することになれば、感染拡大のリスクが大変高くなります。昨年の台風19号においても、避難者が集中いたしまして過密状態となった避難所も出ております。これから出水期を迎え、避難者への
感染症対策というのは非常に喫緊の課題であると考えております。
避難所における感染防止には、密閉、密集、密接の3密を避けまして、少しでも感染リスクを軽減することが重要であります。県では、避難所の設置、運営主体であります市町村に対しまして、避難所における
感染症対策に関する留意事項をまとめて各種対策を依頼しているところであります。
議員お尋ねの避難者のスペース確保についても非常に重要な点でございまして、まずは密集を避けるために、可能な限り多く避難所を開設していただくこと、また、対象となる学校等では、体育館だけではなくて教室も利用していただく、活用していただくようなことも考えていただくこと、また、あるいは親戚や知人宅なども含めました避難先の検討について、住民の方々にも十分周知していただきたいというようなことも依頼したところであります。また、避難所の運営においても、床にテープを貼りまして区切りをしっかりとつけるほか、パーテーションや段ボールベッド、間仕切り等を設置して、しっかりとしたスペース確保をいたしまして、密接を避けるような対策を推進していただきたいと依頼しているところでございます。
そのほか県でもより多くの避難先を確保するために、災害時の避難所として、ホテルや旅館、また緊急時の避難先としてゴルフ場の施設を利用できるように、現在、関係団体とも協定の締結も進めているところでございます。
次に、
感染症対策として備蓄物資についてでございますけれども、市町村の備蓄状況も現在調査しておりまして、県として必要な物資の備蓄も検討しております。マスク、消毒液をまた新たに備蓄するとともに、段ボールベッドですとか間仕切りなども追加で備蓄することで準備を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、災害時の避難者への
感染症対策につきましては、市町村としっかり連携いたしまして、準備を進めてまいりたいと考えております。
◆福重隆浩 議員 御答弁ありがとうございました。本当に、災害は、これから梅雨を迎えると、いつまた豪雨が起こるか分からない、そういった意味では喫緊の課題だというふうに思っております。そういった意味では、最近の症例では、コロナウイルスで亡くなる方が、血栓症で亡くなられる方も多いと。そういった意味でいうと、段ボールベッドというのは非常に有効だと思いますし、以前からお願いをしております弾性ストッキングなんかの備蓄ということも、こういったエコノミークラス症候群には、私は効果があるというふうに思っておりますので、そういったことに対しての備えをしっかりと行っていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
次に、感染症防止対策と
社会経済活動の復活について、山本知事にお伺いをいたします。
○萩原渉 議長 知事、答弁席へ。
(
山本一太知事 登壇)
◆福重隆浩 議員 山本知事におかれては、3月7日、県内で初めての感染者が出て以来、県民の命を守り抜くとの固い信念の下、県庁職員の先頭に立って、不眠不休で職務に当たってこられましたことに心からの敬意を表すとともに、感謝を申し上げます。ありがとうございます。
5月14日、本県を含む39県で緊急事態宣言が解除されたことを受け、全国知事会では、コロナ克服への道と題して緊急共同声明を行い、その中で、これは収束への始まりではなく、
新型コロナウイルスの拡大防止を図りながら、経済と日常生活の復活を目指す新たな戦いの始まりであると宣言されました。先哲の言葉に、闇が深ければ深いほど暁は近いとあるとおり、このコロナとの戦いに打ち勝つ日まで、希望の明かりを示しながら、県民を引っ張っていくのも知事の職務であるというふうに思っております。
25日、安倍首相は、今後の取組は、感染リスクをコントロールしながら段階的に
社会経済活動のレベルを引き上げると述べております。先ほど
産業経済部長に答弁をいただきましたが、本県の主要産業であり、雇用面においても裾野が広い観光産業について、まずは地元から盛り上げていくマイクロツーリズムの支援を行うことは、本県の
社会経済活動の確実な一歩につながると考えております。
そこでお伺いをいたしますが、感染拡大防止と
社会経済活動の回復に向けて、知事として、いかに対応をなされるのか、県民に向けた熱いメッセージをお伺いしたいと思います。
ここまで駆け足でやってきましたので、熱い思いをぜひ語っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
◎山本一太 知事 御質問ありがとうございます。
福重県議には、社会保障政策から産業政策、あるいはまた観光政策まで幅広い分野で、いつも前向きの提案をいただいていることを知事として感謝を申し上げたいというふうに思っています。
今、質問の中で言及をされた、まずはマイクロツーリズムの機運を盛り上げていくと、まずは県内の観光を盛り上げていくと。星野リゾートの星野社長の言葉でしょうか、愛郷ツーリズム、いい言葉だと思います。私は愛郷ドライブと呼んでいるんですが、これは観光産業を救うためには、やっぱり県民の皆さんに協力をしてもらうというのは、まさしく今やらなければいけないことだというふうに思っていますので、福重県議の御提案もいただいて、これから少し前向きに中身を、まだちょっとどういう中身になるか分かりませんが、しっかりと詰めさせていただいて、何らかの形の県としての支援は考えたいということはまず申し上げたいと思います。
質問の最初に県議がおっしゃった行動の規制とか、あるいは休業の要請とか、こういうことが続くことによって、むしろセーフティネットからこぼれている人たちがいると。この言葉は重く受け止めなければいけないというふうに思っています。
県民を新型ウイルスの脅威から守る、命を守るためには、大変重い決断でしたけれども、外出の自粛を求めたり、あるいは休業要請をするということは、これは必要なんですが、しかしながら経済活動をずっと停止し続けるということはもちろんできないと思います。そうしたら県民は仕事ができなくなってしまう、生活にも行き詰まってしまうということだと思っていまして、要は一番大事なことは、福重県議も何度もおっしゃっているバランスなんだろうなというふうに思います。
新型コロナウイルスが根絶できないということであれば、昨今、よくウィズコロナというふうに言われますけれども、この感染が広がらないように、一方でしっかりとこれをコントロールしながら新しい生活様式の中で、新たなビジネスモデルの中でしっかりと経済社会活動を続けると、ここが最大のポイントだというふうに感じております。福重県議の思いはしっかり受け止めて、これも政策に反映させていきたいと思います。
そこで、私も県議と同じ思いでして、個人的に言うと、一刻も早く経済活動、社会活動を再開できればいいなというふうに思っています。さらには、学校の休校も相当長くなってきたので、できることならば、本当に一日も早く学校も再開したいというふうに思っているんですが、いろいろといろんな御意見はいただいているんですけれども、私はどうしても慎重な姿勢を崩せないところがあります。それは心配症なのかもしれませんが、やはり何度も申し上げているとおり、
新型コロナウイルスの正体がよく分かっていないんですね。
この間の質疑でも申し上げたんですけれども、今、世界中の大きな製薬会社とか研究所とか、いろんなプロジェクトを組んで新薬を開発している、ワクチンを開発していると。ただ、ひとつひとつの情報を見てみると、まだまだ時間がかかると。人に対する臨床実験、検査みたいなものが始まったとしても、普通は何年もかかるんですよね。多分、どんなに急いでも7か月、8か月、もっともしかしたらかかるかもしれないという状況の中でいうと、やはり何度も申し上げているとおり、知見と経験則を積み上げていきたいというふうに思うんです。何か集団免疫の議論もあるんですけれども、何人かの専門家、いわゆる感染症の専門家の方々にいろいろお話を聞いたところ、免疫ができるかどうかというのもまだよく分からないと。さらに、この免疫がすごく短い免疫しかできないウイルスのタイプなのかもしれないとか、こういうことを聞いていると、どうしてもそこは慎重にならざるを得ないと。
これも過去の質疑の中で申し上げましたけれども、ブラジルで
オーバーシュートが起こっていると。これは陽性者の数は全く分かりません。発表の10倍と言われているんですが、亡くなった方ももしかしたら10倍みたいな話かもしれませんけれども、毎日、CNNとかBBCとか、MSNBCとか、最新のニュースを眠い目をこすりながら見ているんですね。途中で英語が分からなくなって、よくソファーで気絶しているんですが、でも、30代、40代の人たちがこれだけ亡くなると。確かに、ブラジルは日本に比べて医療の体制がよくない、医療崩壊が起きているのかもしれませんけれども、30代、40代の人がこれだけ亡くなるというのは、もしかしたらウイルスが変異しているのかもしれないと思ってしまいます。
要は経済は再開させたい、ただし、第2波、第3波が起こったときに、慌てたくない、過剰反応したくない。だからこそ、今、業界ごとの
ガイドラインをつくって覚書を結んだりする。さっき御質問していただきましたが、高齢者のいる福祉施設、これは発熱等をモニターする、モニタリングするシステムをつくっていますので、これは、今までは県が所管する600いくつですけれども、1,500ぐらいまで広げました。こういうこともやると。それから、これも群馬県独自なんですが、検証チームというのもつくりました。公衆衛生をよく知っているスタッフ、県庁にはお医者さんもいますから、そういう方々。それから建築関係、3密を防ぐためには、設計とか建てつけも見てもらわなきゃいけないので。これは県有施設を再開するためには全部検証しています。こういうことをとにかくやって、しっかりと体制を整えた上で、第2波が起こっても過剰反応せず、県議おっしゃったように、しっかり活動をやっていただけるような、今、備えをしておくと。ちょっと弱まっているときにその備えを強くするというのは、やはり判断あるべき戦略だと思っていますので、県民の皆さんには大変御迷惑、御負担かけますけれども、ぜひそこは信頼をしていただいて、ぜひ新しい生活様式の定着に御協力をいただければ大変ありがたいというふうに思っています。
随分時間をいただきまして、ありがとうございました。
◆福重隆浩 議員 御答弁ありがとうございました。
県民の命を最後まで守り抜くという知事の熱いメッセージをいただきました。その意味において、本当にこの経済とのバランス、これが、これからのかじ取りが本当に重要になってくると思います。知事が今、愛郷ドライブと言いましたけれども、知事は群馬愛に本当に秀でた方だというふうに思っております。その意味におきまして、県民がコロナで亡くなるということがないように、経済も含めて、ぜひしっかりとした支援をしていただければというふうに思います。その意味においては、やはりこのマイクロツーリズムで、まずは地元が地元を支えていく、こういった取組が重要であると思いますので、ぜひ早急な支援策をまとめていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○萩原渉 議長 以上で福重隆浩議員の質問は終わりました。(拍手)
● 休 憩
○萩原渉 議長 暫時休憩いたします。
午後0時35分から再開いたします。
午前11時42分休憩
午後0時35分再開
(岸 善一郎議長 登壇 拍手)
○岸善一郎 副議長 暫時、議長職を執り行います。
● 再 開
○岸善一郎 副議長 休憩前に引き続き会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
● 質疑及び一般質問(続)
○岸善一郎 副議長 松本基志議員御登壇願います。
(松本基志議員 登壇 拍手)
◆松本基志 議員 皆さん、こんにちは。私は高崎市選出、自由民主党の松本基志と申します。どうぞよろしくお願いします。(拍手)頑張ります。
昨年4月に初当選をさせていただき、5月の定例会で初めて一般質問をさせていただきました。そして、今回、2度目の一般質問の機会をいただき、心から感謝を申し上げる次第でございます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、本県でも貴い命が失われました。お亡くなりになられた方々に心より哀悼の誠をささげます。また、現在も治療を受けていられる皆さんの一日も早い御回復を心から御祈念申し上げます。そして、
新型コロナウイルス感染症対策に御尽力をいただいております医療関係者をはじめ、全ての皆様に心より敬意と感謝を申し上げる次第でございます。さらに、自粛要請などに御協力をいただいてまいりました県民の皆さんにも、心から感謝を申し上げます。
それでは、この後、通告に従いまして発言席で一般質問を行いますけれども、今回の一般質問は、
新型コロナ対策の一環で、持ち時間が45分です。その割には多くの項目を通告をさせていただいてしまいましたので、端的にお伺いをしてまいります。執行部の皆さんにも、簡潔な御答弁、前向きな御答弁をお願いいたしまして、発言席に移ります。よろしくお願いします。(拍手)
知事、お願いします。
○岸善一郎 副議長 知事、答弁席へ。
(
山本一太知事 登壇)
◆松本基志 議員 知事、よろしくお願いします。
私は、知事とはもう長いお付き合いをさせていただいていますけれども、県議会で知事に対して一般質問を行うということは、本当に正直思っていませんでした。議会と執行部ということで、立場は違いますけれども、県民のためになるように、幸福度の向上につながるような議論にしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
昨年7月に、
山本一太知事が誕生いたしました。そして8月23日の臨時会において、知事としての所信表明を行われ、その中で特に力を入れていくべき3つの課題を挙げられました。県民の幸福度を上げる、県民の新しいプライドを創り上げる、そして財政の健全化を図る。そして、その後、矢継ぎ早に発表されたいろいろな計画や、それを推進するための組織やチーム、まずスタートダッシュプランとしての全力疾走366プラン、ぐんま5つのゼロ宣言、中期財政見通しなどです。また知事の思いを実現させるための組織チームとして、自我作古チーム、熟慮断行チーム、行財政改革推進タスクフォースなどです。
そして、その後の10か月、CSF、10月の台風19号による甚大な被害、そして年が明けてからの
新型コロナウイルス感染症の拡大といろいろな試練が続いていると思います。現在は有事あるいは非常時と言ってもよいかもしれませんけれども、知事は就任後の様々な試練に、ここまでしっかり取り組んでいただけたものと思っておりますし、敬意と感謝を申し上げたいと思います。
それから、知事のこの10か月間を拝見していて私が感じたのは、まず知事の情報発信力、もともと国会議員の時代から知事の発信力というのは大変有名でございました。そして、定例記者会見や臨時記者会見を積極的に行っていただき、昨日で71回目でしょうか。さらにオフィシャルなツイッターなどのSNSや、知事個人のツイッターやブログなどでの発信、今現在の
新型コロナウイルス感染症は、災害と言ってもいいかもしれませんけれども、こういうときに知事が直接県民に対して語りかける、この姿勢は高く評価をさせていただきたいと思っています。
それから、冒頭申し上げたいろいろな計画などの中で、私が特に評価をさせていただきたいのは中期財政見通しでございます。持続可能な財政運営を行っていくための参考とすべきもので、しっかりと財政状況を捉え、知事が特に力を入れていくべき3つの課題のうちの1つ、財政の健全化への第一歩だと感じました。
また知事は、実は選挙中から基金残高についても言及されていました。特に今回の
新型コロナウイルス感染症対策とか、あるいは自然災害に対応するには、やはりこの財政調整基金を積んでこなければ難しかったのかなと感じております。
そして、知事は就任時に法律や制度をつくるルールメーカーから、これからは現場で汗を流すプレーヤーとして、群馬県のために全力で働かせていただくとおっしゃっていました。
そこでまず、山本知事就任後10か月を振り返っていただきまして、この3つの課題を掲げ、取り組んでこられたプレーヤーとしての10か月はどうだったのか、所感をまずお伺いいたします。
◎山本一太 知事 御質問ありがとうございます。
昨日、ラジオ高崎のマケルナラジオというのに収録で出演をしました。忙しかったんですけれども、何で受けたかというと、ラジオ高崎に思いがあるからです。今から20何年前、ラジオ高崎がコミュニティーラジオとして初めて誕生して間もない頃に、いち早く若手議員として番組を、山本一太の番組をつくって、キャスターを務めたということなんですけれども。そのときに私の弟の同級生だった松本県議、それから亡くなった大崎てっちゃん、それからコバキン、そういう仲間たちが、スポンサーを取るといろいろ大変だろうからということで、みんなでお金を出し合って番組をつくってくれたというのを改めて思い出しました。もう本当に長い付き合いになりました。まさか、こうして議場で相まみえることになるとは思わなかったんですけれども、ぜひ高い志を持って頑張っていただきたいと思います。
松本県議から今お話しのあった10か月の所感ですが、もう大体振り返っていただいたので、細かいことは一々申し上げませんが、一言で言うと怒濤の日々、緊張の解けない、緊張の連続、決断の連続、こういう毎日でした。さすがに体力、精神力を消耗するときもありますけれども、私は群馬県で生まれて育ったので、やはりプレーヤーとして群馬県のために働けると、本当に大変ですけれども、政治家としてこれほどやりがいのあることはないと思っていますし、今までの人生でこういう時期はありませんでした。ですから、これからも全力でこの群馬県のために頑張っていきたいと思っています。
それから、もう一つは、やはり政治の要諦は危機管理だということを痛感しました。知事の役割は危機管理だというふうに、ひしひしとこれは感じています。その中で、これは松本県議にぜひ御理解いただきたいのは、県庁の職員の皆さんが、私が思っているよりもと言ったら失礼ですけれども、非常に優秀でモラルが高い人たちだったと。本当に助けていただきました。特に、今、
新型コロナウイルス問題が始まってから不眠不休です。我々はある意味、公に奉仕する仕事なので、当たり前だと言われるかもしれませんけれども、それでも土日もありません。こうやって本当に必死に県民のために頑張っているということは、ぜひ松本県議には分かっていただきたいと思っています。
短く言いますけれども、4つのことが大事だと思いました。4つのキーワードがあります。山本県政の特徴にしていくべきことだと思っています。1つは、県庁職員の潜在力、能力を最大限に発揮できる環境をつくること。2つ目は、市町村長との連携、市町村との連携を強めていくと。県だけやっても市町村と足並みがそろわないと、絵に描いた餅になってしまいます。3つ目は、県議会との安定した関係。やはり是々非々の議論をやるということはあっても、いざというときには県議会に議決をしてもらわなければ何もできないので、これもとても大事だと思います。4つ目は、松本県議がおっしゃった情報発信。特にこういう
新型コロナのような問題が起きている非常時だからこそ、昨日も合意の大切さということを質疑で指摘をされましたけれども、タイムリーな情報の共有、この4つがやっぱり物すごく大事で、実は各都道府県知事を見ても、この4つがちゃんとできている人たちは少ないです。ですから、この4点を知事として大事にしていきたいと。今、
新型コロナウイルスをめぐる戦いは長期戦だというふうに言っているんですけれども、長期戦に耐え抜くためには、知事のパフォーマンスだけではとても駄目だと思います。これは、この4つをしっかりと整備することが長期戦に備える対応をつくることになるのかなと思います。
情報発信は、もう繰り返しません。いろいろと御指摘をいただいて、ありがとうございました。ブログもツイッターも全力でやっています。ブログは、多いときは1日10万回ぐらいアクセスがあります。ツイッターは今23万回ぐらいなんですけれども、そういう数字もよく見ながら、どういう発信をしたら一番効果的かということも考えています。記者会見71回、これは1回も無駄なことはありません。定例記者会見は1週間に1回なんですけれども、どうしてもやらざるを得ないことが多くて、みんなで議論しながらセットしています。
それから、メディアミックス。これは松本県議とかを含めた若手の人たちから実は個人的にいろいろ提言いただきました。地元の群馬テレビをもっと活用したらどうか、FMぐんまともっと連携したらどうか、コミュニティーラジオともっと連携したらどうか、あるいは市町村ともっと力を合わせていったらどうかと。防災無線から回覧板まで、ありとあらゆる方法で、とにかく県民の皆さんに正しい情報を届けるということを心がけてきました。特にぐんま広報を活用しろという松本県議の御提案はちゃんと実現をして、ぐんま広報という形ではないんですけれども、実はこれは新しい形になりますけれども、紙の媒体も充実させておりますので、今言った4つのキーワードを頭に山本県政のスタイルというのはつくっていきたいと思いますし、苦しい時代も長期戦の中でも安定して県民のためになる政策が実現できるような体制をしっかり県議会の御協力も得ながらつくっていきたいと思います。
◆松本基志 議員 知事、ありがとうございました。ラジ高の話は懐かしかったですね。シンプルメッセージという題で、知事が参議院議員に初当選なさった25年前ですかね。私の同級生たちと一緒にお手伝いをさせていただいて、週に1回で、知事が帰ってこられなくても、私たちで放送させていただいたということを思い出しました。その当時から、やっぱり情報発信ということは本当に気にかけていらっしゃったんだなと、今振り返ってみても、そう思いました。
今、4つの知事としての重点ということもお話を聞きました。職員の皆さんの潜在力というお話しありましたけれども、私も議員になって21年、途中、間が空いたんですけれども、私は市役所だったけれども、市役所の職員は本当に優秀だし、県庁、県議会に来ても、県の皆さんも本当に優秀だと感じています。これは、やっぱり財産だと思うんですね。例えば群馬県に何の財産があるか、大きな財産のひとつはやっぱり県庁の職員だと思っていますので、これをしっかり知事のリーダーシップで、使うと言うと言葉が悪いのかもしれませんけれども、総力を結集して、また県政に取り組んでいただければ本当にありがたいなと思っています。
それから情報発信の件で言うと、ネットが使えない層というのがいらっしゃるので、ちょっと知事も今触れていただきましたけれども、記者会見にしても、それを群馬テレビでも導入してくださったと。記者会見、群馬テレビについても、手話も私は最初、ちょっとだけやらせていただきましたけれども、手話についても、自民党からも要望させていただきましたが、すぐにこれも対応していただいたと。紙媒体はすごく大事だと私は思っていまして、本当にネットが見られない人は、とりあえずテレビがあって、そのほかは紙ですよね。私も地元では、
新型コロナについてはちょっと配らせていただきましたけれども、今でもうちの中に貼っているよと言ってくださる方もいるし、ネットが使えない方のための、そういう情報発信というのもぜひ続けていっていただきたいと思います。
情報についてはそれで終わりにして、あと1点、財政の健全化についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども。知事の3本柱の1本として、これまでどのような取組をなさってきたのかということと、今現在の
新型コロナ対策で県独自の政策も打ち出していただいていて、国からの交付金というのもありますけれども、財調も取崩しをしているという中で、今後の財政健全化に向けてどんなお取組をするのか、御所見があればお伺いいたします。
◎山本一太 知事 質問ありがとうございます。
松本県議の前回の質問、最初に質問でしょうか、その中で財政問題を取り上げてこられて、例えば実質公債費比率とか臨財債の話までされていると。本当に財政改革、恐らく市議の頃から一生懸命取り組んでこられたんだなと、その点は敬意を表したいというふうに思います。
私が知事になって、初めて昨年10月、中期財政見通しというのをつくりました。これによると、毎年200億円赤字が出るという衝撃的な結果になったんですけれども。これを受けて熟慮断行チームというのをつくって、既存事業を思い切って見直すと。しかし、将来のいろんな富を生み出すものにはしっかりとつけていくというような、めり張りをつけた方針を打ち出して、例えばネーミングライツの導入とか、ふるさと納税の積極的な活用とか、こういう歳入確保にも努めてまいりました。その結果、松本県議に今言及していただきましたが、財政調整金残高、当初予算編成時、前年度15億円だったんですけれども、何とか37億多い52億円まで確保できたということです。それから、県債残高の抑制も何とか図ることができたということで、目指すべき財政運営の小さな一歩ですけれども、一歩を踏み出すことができたというふうに思っています。
ただ、その後、コロナ対策もあって、財調52億円を取り崩しました。本当だったら100億円以上あったんですけれども、残念ながら、こういうときのためなので、これを取り崩しまして。これから財政はさらに厳しくなってくると思います。景気の影響が出てくれば、税収も、県税収入に減ってくるということなので、これは財政の健全化をよく考えて、これから第2次の臨時交付金もやってくるので、もちろんこれはしっかり
新型コロナ対策に充てるんですが、財調を積み上げるということも頭の中に置きながら使っていきたいというふうに思いますので、ぜひこれからも、財政健全化については、いろいろと後押しをいただければ大変ありがたいと思います。
◆松本基志 議員 ありがとうございます。今、財調の話がありましたけれども、よく出る議論で、財調が本当は幾らあればいいんだろうというのがあって、標準財政規模の約10%、本当は5%から20%という議論の中で、都道府県においては10%ぐらい必要だろうと。そうすると、まだ本当のこと言うと、かなり低い水準なんですけれども、これは今回の
新型コロナの関係もあるし、そういうときのためなので、これは今後も、ぜひ健全化に向けてもお取組をお願いをしたいと思います。
もう1点、総合計画を今策定中ですけれども、昔から思っているんだけれども、計画をつくるときには、やっぱりしっかりと財政的な裏づけが必要だろうと思っているんですよ。県の過去の計画も拝見しましたけれども、財政計画というのは全然触れられていないので、今後つくるに当たっては、やっぱり財政計画を含めた総合計画をつくっていただきたいということを1点要望させていただきたいと思います。
それから、
新型コロナウイルスの影響で、3月から4月、5月もイベント等も大分中止になっていて、昨日の井田議員との議論の中でもありましたけれども、その辺の予算の組み替えというのも多分必要になってくるんだと思うので、その辺についてはぜひ柔軟な対応をしていただきたいと思います。
さらにこの状況が続いていくと、来年度の税収というのは多分落ちると思うんですよね。それに向けた考え方というのをしっかりしていく必要があると思っています。他方、やっぱり事業者にとって今回は本当に厳しい状況に、この後また議論させてもらいますけれども、厳しい状況になっているので、やっぱり経済を回すという部分については、使うべきものはしっかり使っていっていただくということが、これも重要だと思いますので、その辺も含めてぜひお願いをしたいと思います。以上でこの件については終わりにします。知事ありがとうございました。
健康福祉部長お願いします。
○岸善一郎 副議長
健康福祉部長、答弁席へ。
(
武藤幸夫健康福祉部長 登壇)
◆松本基志 議員 続いて、
新型コロナウイルス感染症に係る対応についてお伺いをいたします。
緊急事態宣言が解除され、さらに本県でも、明日ですか、5月30日から警戒度が3から2に引き下げるということでございます。ただし、この
新型コロナウイルス感染症が収束したわけでもなくて、今後、第2波、第3波に備えなければいけないのではないかと考えています。
そこでまず、医療体制の整備についてお伺いしたいと思いますけれども、
新型コロナウイルス感染症対策病床及び医療器材について、これまでの確保状況及び稼働状況はどうなのか、また第2波、第3波に備えて、さらなる整備が必要と思われますが、どのようなお考えか、簡潔にお願いいたします。
◎武藤幸夫
健康福祉部長 お答えさせていただきます。
まず、
新型コロナウイルス感染症患者のための病床ですが、現在は170床を確保してございます。ピーク時には107名の方が入院されておられまして、稼働率は75%でございました。現在は15名の方が入院されていて、稼働率は9%でございます。
それから重症者向けの機材でございます。現在は、ECMO、人口肺、これが7台、それから人工呼吸器が23台用意してございまして、ピーク時におきましてもECMOが2台、人工呼吸器9台が使用されているという状況でございました。
これから秋以降といいますか、第2波、第3波に向けましては、ベッド数としましては280床の確保を目指しております。また重症者用のベッドとして50床程度を考えておりまして、ECMO54台、それから人工呼吸器50台が必要と考えておりまして、これは今月11日の臨時議会におきまして、これらの購入経費、補助費等につきましては御議決をいただいたところでございまして、医療機関が迅速に整備できるよう対応していきたいと考えております。
今後、見込まれる第2波、第3波に向け、
医療提供体制の整備を計画的に進めることによりまして、県民の皆さんの安心感を持っていただけるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
◆松本基志 議員 部長、ありがとうございます。先ほど職員の皆さんは頑張っていらっしゃるという話がありましたけれども、武藤部長にも、本当に今回のコロナ対策で頑張っていただいていることには心から敬意を表したいと思います。今後もかなり用意をしていただいているということなので、ぜひ油断することなく今後の対策をお願いいたしまして、部長には以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
産業経済部長、お願いします。
○岸善一郎 副議長
産業経済部長、答弁席へ。
(鬼形尚道
産業経済部長 登壇)
◆松本基志 議員 次に、事業者支援についてお伺いをしてまいりたいと思います。
私も知り合いの事業者の方からいろいろと現状についてお話をお伺いしていますけれども、やっぱり当初は飲食業とかイベント、観光産業等が大変厳しい状況にあったと。その後、製造業、建設業など多くの業種にも大きな影響が出ているようでございます。
そこで、この感染症の感染拡大によって、県ではワンストップセンターをはじめ各部で相談も受け付けていると思うんですけれども、経営に影響を受けている県内事業者からの相談状況というのはどうなのか。さらに解雇や雇い止めや県内経済に対する県としての現在の認識をあわせてお伺いいたします。
◎鬼形尚道
産業経済部長 お答えいたします。
先に日本銀行前橋支店が発表した5月の金融経済概況、これによりますれば、県内景気はこのコロナの影響で厳しさを増しているというふうに分析されております。また、御指摘のように、今、群馬労働局から情報を得ておりますが、
新型コロナウイルス感染症に関連した県内での解雇や雇い止め、5月20日時点で163人に上ります。雇用情勢が大変厳しい状況になってきております。
こうした中、3月23日に庁内に設置いたしました
感染症対策県内企業ワンストップセンターには、昨日までに7,221件の相談が寄せられております。特に4月17日の緊急事態措置による休業要請以降、相談件数は急増しておりまして、資金繰り、経営、労働の専門相談窓口と合わせた延べの相談件数は8,000件を超えております。
御指摘のとおり、相談当初は観光業、宿泊業、飲食業などからの問合せが目立っておりましたが、その後は様々な業種から幅広い相談が寄せられております。最近では、製造業からのものも多くなっております。内容といたしましては資金繰りに関するものが最も多く、先行きを懸念する事業者が非常に多いことが分かります。また、雇用の維持に関する相談も多く、中小企業を中心に県内の労働環境が厳しさを増していることがうかがえます。
こうした相談に対しまして、国の持続化給付金や雇用調整助成金、また県制度融資による無利子・無担保融資の利用を進めるなど、特に資金に関する支援メニューの紹介を中心にひとつひとつ丁寧に対応しているところでございます。
直近では、相談件数自体はやや落ち着きを見せておりますが、感染拡大防止対策を徹底しつつ、いわゆる新しい生活様式を定着させていくには一定の時間を要するということでありますので、県内経済の回復にはしばらく時間がかかるというふうに考えております。
◆松本基志 議員 ありがとうございます。本当に厳しい状況なんだと思っています。
そこで、今、資金繰りの話とか雇用を維持するための話というのがございました。県で創設をしていただいた制度融資、
新型コロナウイルス感染症対応資金とか、あるいは雇用調整助成金の申請者の負担を軽減するということで、この間、補正の中でもありましたけれども、この支援をするとか、あるいは休業要請を行った方に対する支援金、これらの実績についてちょっとお伺いしたいと思います。
◎鬼形尚道
産業経済部長 事業者支援の現状でございます。
まず、制度融資についてでありますが、事業者の資金繰りを支援するため、4月1日から開始した
新型コロナウイルス感染症対策資金の利用実績でございますが、4月末時点で866件、融資額約149億円となっており、足元で県内事業者の資金ニーズは急増しております。このため、本議会におきまして融資枠を400億円増額いたしまして、総額で600億円とする追加補正予算をお願いしているところでございます。
また5月1日には、国の緊急経済対策による民間金融機関を活用した制度融資、こちらのほうもちょっと名前は似ているんですが、
新型コロナウイルス感染症、こちらは対応資金でございます。これを新たに設けまして、過去最大となる2,000億円の融資枠を設定いたしました。全国トップクラスの最長7年間の利子補給を行って、県内中小企業・小規模事業者の資金繰りに万全を期しているところでございます。
次に、
感染症対策事業継続支援金、いわゆる20万円の支援金でございますが、こちらのほうは今月13日の受付開始以降、昨日までに7,376件の申請を受け付けております。本日から支給を開始いたしました。厳しい状況にある事業者の方々に、できる限り早期に届けられるよう、引き続き迅速な審査と支給に努めたいと考えております。
また国の雇用調整助成金につきましては、事業者の円滑な申請を支援するため、群馬労働局及び各地域の商工会議所などと連携いたしまして、社会保険労務士による個別相談及び提出書類の作成支援などを行っており、今月11日から支援を希望する事業者の募集を開始したところでございます。
事業者の支援につきましては、現在、国が第2次補正予算において措置を検討しておりますが、県といたしましては、その内容も見極めながら、県としてできることをさらに検討の上、引き続き雇用の維持と事業者の事業継続に万全を期してまいりたいと考えております。
◆松本基志 議員 ありがとうございます。この制度融資はすごい好評で、国が3年間、利子補給すると。その後、県が4年持つということで、多分、全国でもトップクラスの補助なんだと思います。事業者の方はもちろんですけれども、金融機関からもそういう声が聞こえてくるので。
1点、12月末までの申込みになっていますけれども、融資枠が2,000億は本当に大きいんですけれども、今現在、売上げが企業なんかで15%落ちていないと、でも今後を考えると多分15はいっちゃうんだろうという中で、2,000億が終わったらどうするのという御相談も来るようになっているんですよ。先ほどの国の2兆円の話もありますし、群馬に幾らか来るか分かりませんけれども、その辺については、もし枠が万が一なくなった場合も、ぜひ柔軟な対応をしていただきたいなということをお話をしておきたいと思います。
それから、20万の支援金の関係なんですけれども、これも昨日の一般質問の中でも要件緩和みたいな話がありましたけれども、実際にあのとき、ゴールデンウイークのときに、外出自粛は県民の皆さんに呼びかけていて、それで休業要請が出ていなかった業種がやっぱりございました。その中でも3密を避けるとか、お客さんも来ないみたいな話の中で、実際には自粛をしてくださっていた業種も結構あるので、その辺についても、この支援金では拾えないのかもしれないですけれども、何か今後、大変厳しい状況みたいなので、ぜひその辺についても、今後の中では御検討をいただきたいと思います、ということをお願いして、部長、終わりにしたいと思います。ありがとうございます。
教育長、お願いします。
○岸善一郎 副議長 教育長、答弁席へ。
(笠原 寛教育長 登壇)
○岸善一郎 副議長 残り15分です。
◆松本基志 議員 教育長に教育支援についてお伺いをいたします。
ちょっと時間がなくなってきちゃって、早口で本当に申し訳ないんですけれども、まず1点目の市町村教育委員会との連携について、これはICTの関係なんですけれども、午前中の福重議員さんとの議論の中で大分詳しく御説明をいただきましたので、これはちょっと要望だけさせていただきたいと思います。
1人1台パソコンを整備するとともに、通信環境、Wi-Fi環境ですよね。公立の高校はかなり整備されているようでございますけれども、市町村の学校もそうですし、御自宅で今後、リモート教育ということになると、その辺の整備についてもぜひ御配慮をいただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。
2点目の学校再開後の生活支援についてでございます。今まで誰も経験したことがないような長い学校の休業が続いていて、児童生徒も、心身ともに大分疲れがたまっていたりとかストレスがたまっていたりということがあるんだと思うんですね。
そこで、この休業中に教育委員会として児童生徒にどんな対応をしてきたのかということと、来週の月曜日には再開されるということなので、その時点において、再開後、どのような支援を行うのかということを簡単にお願いします。
◎笠原寛 教育長 学校再開後の生活支援でございますけれども、議員からもお話しございましたけれども、長期の臨時休業によりまして、子どもたちは様々な影響が出ていると思います。県教育委員会といたしましても、大変心配しているところでございます。
まず、休業期間中の対応に関しましては、まずは学級担任が児童生徒と連絡を取りまして、必要によって家庭訪問等を行ってまいりました。また内容によっては、養護教諭が担任と一緒に子どもたち、あるいは保護者の相談にも対応してまいりました。さらには専門家でありますスクールカウンセラーも活用いたしまして、児童生徒に対しまして、切れ目のない支援が行われるよう取り組んでまいったところでございます。
さらに、やはり
新型コロナの影響によりまして、家庭の経済状況の変化ですとか、あるいは児童虐待への懸念、また育児相談の増加等を踏まえまして、スクールソーシャルワーカーが学校と連携をいたしまして、問題を抱える児童や家庭環境への働きかけ、そしてまた、関係機関との連絡調整など福祉的な支援に当たってまいりました。また、生徒に対しましては、LINEを使いましたぐんま高校生オンライン相談を昨年より約3か月前倒しをいたしまして、この5月20日から開設をいたしました。一部の地域の中学生も対象に広げまして、学校再開を前に不安や悩みを抱えている生徒のSOSを受け止める体制を整えたところでございます。
学校再開後は、児童生徒が円滑に学校生活に適応できるよう各学校で学級におけます人間関係づくりや温かい雰囲気づくりを工夫していただきまして、子どもたちをきめ細かく見守り、一人ひとりの悩みに寄り添うとともに、
新型コロナに関連した差別や偏見の防止にも努めてまいりたいと考えております。
県教育委員会といたしましては、学校再開後も市町村教育委員会、また専門家等と連携を図りながら、児童生徒が安心して学校生活を送れるよう、きめ細やかな支援に努めてまいりたいと考えております。
◆松本基志 議員 ありがとうございます。今、教育長からもお話がありましたけれども、児童生徒一人ひとりに寄り添った対応をぜひお願いをして、この件は終わりにしたいと思います。ありがとうございます。
県土整備部長お願いします。
○岸善一郎 副議長
県土整備部長、答弁席へ。
(岩下勝則
県土整備部長 登壇)
◆松本基志 議員 次に、防災・減災対策についてお伺いをいたします。
昨年の台風19号による
公共土木施設災害について、今期定例会に公共土木施設の災害復旧費が約101億円計上されています。昨年度からもう一部着手されているところでございますけれども、災害復旧工事はこれから本格的に取り組むということだと思います。
そこで、今回の補正予算でどの程度まで復旧が進むのか、昨年の台風19号による被害状況とあわせてお伺いをいたします。
さらに、これから本格的な復旧工事が始まるということになると、もう出水期を迎えて、そういう地域に住んでいる方にとっては、例えば避難をするとかという情報がすごい大事になってくると思うんですね。そんな中で、昨年の台風19号のときには、県の河川水位情報とか雨量情報がネットでつながらなくなった。私もずっと拝見していたんですけれども。市の担当者ともお話ししましたけれども、防災の担当者もやっぱり県のホームページを見て対策を考えていたという実態もあるんです。その辺についても改善が進んでいるのではないかと思いますけれども、その辺はどうなのかということと、さらにもう1点、SNSを使った新しい取組というのが、情報の収集も発信も含めて大変重要になってくるんじゃないかと思いますけれども、その辺についてもあわせてお伺いをいたします。
◎岩下勝則
県土整備部長 では、まず初めに、災害の状況でございますけれども、御指摘がございましたように、公共土木施設に係る災害は、県と市町村が管理する施設全部を合わせますと703か所で、被害額で申し上げますと238億円に上ってしまいました。このうち県管理施設の被害はということでございますが、450か所、187億円となっております。
これまでに詳細設計を終えて現場の施工条件が整った箇所から順次工事は進めております。令和元年度末までに全被災箇所の約半数となります237か所の発注が完了したところでございます。今後は、令和3年3月までに全450か所の発注を終えるとともに、全体の約6割の箇所を年度内に完成させていきたいと考えております。
次に、ちょっと御指摘のございました水位や雨量のことでございますけれども、現在、県のホームページ、県土整備部の防災情報というのがございますが、そこで道路の通行規制や土砂災害情報とともに情報発信を行っておりまして、多くの県民の皆様に御利用はいただいておるんですが、一方で、御指摘のございましたように、昨年の台風19号の際には、アクセスが集中してしまいまして、非常につながりづらくなったというお話もございます。これを改善するために、現在、サーバーの増設を進めております。こちらにつきましても、台風シーズンとなる9月までには完成させたいと考えております。
3点目になります。SNSの件でございますが、SNSを活用した情報発信については、現在、県が運用しております防災ツイッター、これをうまく活用いたしまして、河川の水位が氾濫危険水位など基準を超えた際に、速やかに情報が発信できるよう、今現在準備を進めているところでございます。
さらに、情報提供に係る一歩進んだ取組といたしましては、現在、今の情報だけではなくて、数時間後の水位や氾濫の予測が行えるように、リアルタイム水害情報システムというのを開発中でございまして、令和3年度の完成を目指しているところでございます。このシステムが完成すれば、市町村のより迅速かつ的確な避難勧告の発令に役立っていただけるものと考えております。
今後も市町村と連携しながら、ぐんま5つのゼロ宣言のひとつでございます自然災害による死者ゼロを目指して、ハード・ソフト両面から強力に防災・減災対策を進めてまいりたいと考えております。
◆松本基志 議員 ありがとうございます。年度内に6割の復旧ということなので。実はもう台風1号も発生していて、もう出水期が間近なんですけれども、その辺の応急処置も含めて。昨日の知事の御発言の中でも、昨年の台風19号みたいな被害は今後毎年起こることも覚悟しなくちゃいかんだろうというようなお話もございましたので、その辺もあわせてぜひお願いをしたいと思います。部長、どうもありがとうございました。
続いて、危機管理監に避難所の運営についてお聞きしたかったんですけれども、時間の関係もあって、また午前中に福重議員さんからかなり詳細なお話がございましたので、これは要望だけさせていただきたいと思います。
実は台風19号のとき、私の住んでいるところが避難勧告が出たものですから。私は、今、防災士で、県のぐんま地域防災アドバイザーということでもあって、近くにある県立の高校に行って、避難所の運営にも携わりました。今考えてみると、いや本当にもう3密です。それを考えると、午前中も答弁あったんですけれども、そういう中で、ぜひ避難所はやっぱり1か所、どんどん増やしてもらったりとか、いろんな対策があると思うんですけれども、その辺についてもぜひお願いをして、これは要望だけにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、
戦略セールス局長お願いします。
○岸善一郎 副議長
戦略セールス局長、答弁席へ。
(佐藤武夫
戦略セールス局長 登壇)
○岸善一郎 副議長 残り5分でございます。
◆松本基志 議員
Gメッセ群馬についてお伺いします。
これがオープンが延期をされていましたけれども、来週の月曜日、6月1日に開所をするというような発表がございました。とりあえずほっとしたんですけれども、まだまだ油断できない状況なんだと思っています。これからのウィズコロナ時代の、
Gメッセ群馬だけじゃなくて、このようなコンベンション施設のあり方というのが、これから問われるのかなと、そんなふうに考えています。
ウィズコロナ時代の今後のイベントとかの考えについて、ぜひお伺いをしたいと思います。簡潔に。
◎佐藤武夫
戦略セールス局長 御指摘のように、
Gメッセ群馬につきましては、6月1日のオープンを目指して、
新型コロナウイルス感染症対策を徹底するということで準備を進めているところでございます。
そういった感染防止対策を徹底するにいたしましても、今後は、ウィズコロナの時代に、どのように大規模イベントを行っていくかというようなところは非常に難しい、見直しが迫られるのかなというふうに考えているところでございます。例えば徹底して3密を避けるような非接触型のイベントですとか、デジタル技術を活用したイベント、そういったものを積極的に誘致するというようなことを進めてまいりたいと思う一方、また、県が率先して新しいイベントのあり方みたいなものも研究いたしまして、モデル的にGメッセが、そういった舞台装置となるような取組を進めていきたいというふうに思っております。
今後、
新型コロナウイルスの感染の収束状況を見極めつつ、
Gメッセ群馬が本県が持つ様々なコンテンツを全国に発信する舞台装置として最大限に活用されるように、本県イベント産業全体の発展に努めてまいりたいと考えております。
◆松本基志 議員 ありがとうございます。これから5Gの時代で、VRとかも使いながら新しい使い方というのを考えていただきたいと思いますし、やっぱりあり方自体も考えていく必要があると思いますので、ぜひ今後の取組を期待したいと思います。ありがとうございました。
続いて、
地域創生部長お願いします。
○岸善一郎 副議長
地域創生部長、答弁席へ。
(角田淑江
地域創生部長 登壇)
◆松本基志 議員
綿貫観音山古墳出土品の国宝指定と今後の活用についてお伺いをいたします。
高崎市にありますこの観音山古墳の出土品が3月19日、国宝に指定されることが決まりました。この活用についてお伺いいたします。
◎角田淑江
地域創生部長 国宝化が決定いたしました群馬県
綿貫観音山古墳出土品でございます。
この周知・活用についてでございますけれども、まずは多くの方に見ていただきたいということでございまして、県立歴史博物館では、この国宝となる出土品を常設展示をしております。また、7月には、通常非公開の埴輪などを含む企画展、綿貫観音山古墳のすべても開催予定でございます。また綿貫観音山古墳ガイドブックも策定したところでございます。さらに、出土した古墳、この現地に行っていただきますと、国宝となる古墳群がずらっと建ち並ぶ当時の様子が体感できるVRアプリ、群馬古墳タイムトラベルと申します。この配信も始めたところでございます。
今後も本県が世界に誇る
歴史文化遺産の魅力をしっかりと動画・放送スタジオtsulunosなども大いに活用しながら、国内はもちろん世界に向けて情報発信をしていきたいと考えております。
◆松本基志 議員 ありがとうございます。
2月には、吉永小百合さんがDCの関係もあって、群馬の古墳ということで、本当に多くの方が御覧になったということで、今ちょっと残念な状況ですけれども、この国宝指定を受けて、古墳大国ですから、群馬は。古墳とか埴輪の聖地にしてくということが私は必要じゃないかなと思っていますし、午前中、大学の話もありましたけれども、大学もやっぱり特色が必要なんだろうと思うんですよ。群馬県には、県立女子大をはじめとして、大学なり短大もたくさんありますので、そういう中で考古学とか埴輪とか古墳とかに特化した学科とかもぜひつくっていただいて、最終的には世界遺産になるような取組も期待したいと思います。部長、どうもありがとうございました。
あと30秒ですけれども、最後、
県土整備部長に道路整備についてお伺いしたかったんですけれども、要望だけにさせていただきます。
西毛広幹道高崎西工区と高崎神流秩父線矢田工区、ちょっとお伺いすると進捗状況は順調に進んでいるということでございます。道路というのは、全線がつながって初めて効果が生まれるので、ぜひ取組をよろしくお願いを申し上げまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○岸善一郎 副議長 以上で松本基志議員の質問は終わりました。
● 休 憩
○岸善一郎 副議長 暫時休憩いたします。
10分後に再開いたします。
午後1時21分休憩
午後1時31分再開
● 再 開
○岸善一郎 副議長 休憩前に引き続き会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
● 質疑及び一般質問(続)
○岸善一郎 副議長 高井俊一郎議員御登壇願います。
(高井俊一郎議員 登壇 拍手)
◆高井俊一郎 議員 自民党、高崎市選出、高井俊一郎です。通告に基づいて質問をさせていただきます。
今回の質問は、
新型コロナ関連、ウィズコロナに絞らせていただきました。今日この時点でも、このコロナで戦う人、苦しむ人、悲しむ人、たくさんいらっしゃると思います。敬意と哀悼、そして自然への畏敬の念を持って質問をさせていただきます。
まず、
知事戦略部長お願いいたします。
○岸善一郎 副議長
知事戦略部長、答弁席へ。
(田子昌之
知事戦略部長 登壇)
◆高井俊一郎 議員
新型コロナ、これから第2波、第3波がやってくる可能性は高く、まだまだ予断は許されない状況、気を緩めてはいけないと思います。しかし同時に、14世紀のペスト大流行後の宗教改革とルネサンスのように、この世界史を見ると、パンデミックの後というのは必ず社会変革期がやってまいります。さて、今回はどのような変化をもたらすか。
先日、昨日の安孫子団長の質問で、知事の答弁でもありましたが、デジタル化によっていろんなものが効率化していくのだと思います。当然、このコロナ以前にも兆しはありましたが、ある意味大義を持った形で、速度を上げていくのだと思います。
黒船が来航して明治維新という社会変革後の西南戦争の西郷隆盛のお侍さんのように、変化のスピードが早ければ早いほど、取り残される人というのが出てきてしまいます。だから、今こそSDGsなんだと思います。進化とともに誰1人取り残さないという強い意識の下、愛のある、寄り添える社会の構築が必要だと思います。
さて、今回の
新型コロナによるパンデミック、その根本原因は何か。新型ウイルスの発生は、自然破壊、そしてパンデミックの要因は急激なグローバル化なんだと思っています。今回の
新型コロナの発生については諸説ありますが、生物学的に言うと、野生生物の領域を侵せば侵すほど新しいウイルスというのは必ず出てくる、そのリスクが高まるというのは通説だそうです。ジャングルを切り開けば切り開くほど、グリーンランドの氷が解ければ解けるほど、私たちはこれからもその未知のウイルスと戦わなくてはいけない。そして、そのウイルスは病を蔓延させ、今回のような都市封鎖や外出自粛によって経済に大打撃を与え、格差と貧困を生み、さらに弱い者をたたき、サブサハラ地域の人々はまたジャングルを生きるために切り開く。そして二酸化炭素を排出させるというふうに、この負の連鎖がずっとずっと続いていくんです。これはまさにSDGsだと思います。
〔資料①提示〕まず、こちらを御覧いただけたらと思います。こちらはSDGsの本質を表す2つの桶、桶で表しております。1つは、風が吹けば桶屋がもうかるということわざがありますけれども、連鎖です。先ほどの自然破壊がウイルスを生んで、そして経済打撃を生むというその負の循環を連鎖と言っております。そして、もう一つの桶はドベネックの桶と言われております。この桶のひとつひとつの板、高いものもあれば低いものもありますが、この一番低いところから水がこぼれてしまうということです。これを全て同時に、誰1人取り残さないということです。
新型コロナは、今後、アフリカやインドにも、公衆衛生の行き届かない発展途上国に蔓延して大きな被害を出すと言われています。日本が仮にいったん終息したとしても、ここを経由してまた戻ってくるわけで、これは地球全体、人類全体で戦わなければ、本当の出口というのは見えないんだと思います。まさに全てを同時にだと思います。今こそSDGsを強く意識して、いろいろ施策を行っていくべきだと思います。
〔資料②提示〕次に、こちらを御覧いただけたらと思います。その施策、例えばこんなこと。これは4月28日の臨時記者会見のモニターの資料ですけれども、例えばここにSDGs17項目の何が関連してあるか、これだけではやはり意識づけになりますし、こういうことを常に意識するということが大切なんだと思います。
このSDGsを今こそ積極的に強化するべきだと思いますが、御所見をいただけたらと思います。
◎田子昌之
知事戦略部長 お答えいたします。
今回、
新型コロナウイルス感染症により世界では都市封鎖を行った都市も出てきております。そうした地域では、環境が改善した、空気がきれいになったという報道もされております。このことは議員御指摘のとおり、また昨日、知事が泉沢県議に答弁しておりましたけれども、環境破壊や自然破壊が我々人間の生活や経済活動によりもたらされたことを物語っていると思っております。
SDGsという言葉も、特に最近、目にしたり、耳にする機会が増えてきておりますが、意味がよく分からない、身近に感じられないという人も多かったのではないかと思っております。しかし、今回の
新型コロナウイルスを関係づけて考えると、持続可能な社会、誰1人取り残さないというSDGsの意義やその重要性はよく分かってまいります。
例えば、SDGsのゴール3は「すべての人に健康と福祉を」であります。現在、各国が自国民の命と健康を守るために様々な取組を行っております。また、医療体制が整っていない国のために他国が協力し合うなど、今まさに取り組んでいる
新型コロナウイルス感染症対策がSDGsと目標を同じくする取組であることがよく分かります。
県では、昨年10月にぐんまSDGsイニシアティブを発信し、SDGsの推進に取り組んでいるところでありますが、SDGsを意識した取組や発信を行う時期であると考えております。具体的な方策については、先ほどありました議員の御提案も含めまして、幅広く検討していきたいと考えております。
◆高井俊一郎 議員 ある意味、今、知事の露出が、記者会見等も多い中で、またすごく注目をされていますので、チャンスだと思っています。こんなことですけれども、この、やっぱり積み重ねということが大切だと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
そして、
新型コロナというのは本当に社会の課題を浮き彫りにしているなという気がいたします。例えば国の単位でいうと、アメリカの感染拡大というのは、アメリカの貧富の格差ということと、あと自由への権利の主張の強さというのが浮き彫りになったなと私は思います。また、例えばイランという国は、あれはイスラム革命でシーア派の教えを基として国をつくったわけで、政府が3密はいけないよと言っても、やっぱり信仰が優先されて、モスクに人がいっぱい。それが感染拡大の原因になったと言われております。このように、やはり本当にいろんな課題が浮いてくる時期なんだと思っています。
今回感じたことはいくつかあるんですけれども、この後、給食の話もさせていただきますけれども、ひとつは先ほどの松本議員の質問でもございましたが、情報格差です。やはり情報はすごく大切で、特に有事の際は非常に大切です。デジタル化が進んで、
新型コロナの情報も含めインターネットで、その情報の詳細を取るのが当たり前になってきておりますけれども、やはり取れない人もいるということを実感しました。一般的に、総務省の調査ですけれども、普及率80%と言われて、80%なんですけれども、逆に言うと20%の人がその情報を取れないということです。年代別に分けますと、70代は50%です。そして、80代は20%台という数字が出ています。80代の人は、80%の人はその情報を取れないということでもあるんです。
それでも、メディアミックスということで、知事も本当にいろいろ日に日に考えて、すごい速いスピードで、いろいろこの間、取り組んでいただいたことももちろん分かっております。そこも含めて誰1人取り残してはいけないという情報発信、今回については、本県ではどのように対応したのか、また今後対応していくのかというのをお聞かせいただけたらと思います。
◎田子昌之
知事戦略部長 お答えいたします。
今回の
新型コロナウイルス感染症や災害時の情報は即時性が求められますので、ツイッターやホームページ、記者会見の生動画配信など、インターネットを通じての発信が多くなっております。しかしながら議員御指摘のとおり、インターネットを使える環境にない方も少なからずいらっしゃいます。そこで、県では紙媒体でしか情報が入手できない人に対しましては、ぐんま広報で特集を掲載したり、また今回は保存版としてぐんま広報の号外を発行するなど、インターネット以外の情報にも努めてまいりました。
また、FMぐんまで外出自粛の呼びかけや各種助成制度の情報を多く放送しました。特に外出自粛につきましては、県内の7つのコミュニティーFMとも連携するとともに、各行政県税事務所の広報車できめ細かな呼びかけも行ったところでございます。さらに重要な記者会見など特に県民にお知らせしなければならない情報につきましては、今回初めて群馬テレビで生放送を行ったところでございます。県民からは、群馬テレビで知事会見を見ることができたという声も寄せられております。地元テレビ局の役割についても改めて認識したところでございます。なお、記者会見につきましては、先ほどの話がありましたが、手話通訳も導入させていただきました。
県の広報の目的は、全ての県民に情報を正確に分かりやすく伝えることであります。今後も引き続き県民の皆様に寄り添った広報、紙世代とネット世代をつなぐような広報を心がけて、いわゆる情報弱者の方も含めて、多くの県民にしっかり情報が届くよう様々な媒体を活用した情報発信に努めてまいりたいと考えております。
◆高井俊一郎 議員 お願いいたします。うちの近所のおばあちゃんが、記者会見が群馬テレビで初めてやられたときに、本当にうれしそうに、私たちにも届いた、届けてくれたという、そんなような言葉を言っていたのが非常に印象的でございます。ぜひ情報の格差を生まないよう、取り組んでください。どうもありがとうございました。
続きまして、教育長お願いいたします。
○岸善一郎 副議長 教育長、答弁席へ。
(笠原 寛教育長 登壇)
◆高井俊一郎 議員 教育長、よろしくお願いいたします。
タイトル、学校給食がなくなる日というショッキングなタイトルをあえてつけさせていただきました。
〔資料③提示〕まず、こちらを御覧ください。4月の学校の突然の休校の延長、このことで大量のパンが廃棄になったよ、廃棄処分になったよという記事です。何で廃棄しなくてはいけなかったかというのは、給食にしか使えない脱脂粉乳が原因で、これも大きなはてなで、こちらの質問も次回させていただこうと思っていますけれども、今回問題にしたいのはこれではなくて、本当に給食がなくなっちゃいそうだよという話です。
新型コロナの影響で、3月、4月、5月の休校で給食の食材業者さんというのは大打撃を受けています。3月に関しては国から補償が出るということですけれども、4月、5月というのは今のところ補償がありません。昭和時代につくられた契約書、今ここにありますけれども、読ませていただきましたけれども、この売上げというのは納品数掛ける単価のみで、全くその間の補償がない。例えば明日休校になってしまえば、その分の補償が全くないと、こういう契約です。もちろん右肩上がりのときがあって、その時代というのはよかったんだと思いますけれども、今もう目減りが分かっている中で、本当に苦しい経営を強いられています。
6月に学校が再開されますけれども、第2波、第3報が正直いつ来るか分からない。そうすると、また全く同じことが繰り返されてしまいます。
そんな中で、名前出していいということだったんですけれども、桐生市とみどり市のパンと米飯、33校分を納品されていた創業95年の藤屋さんという給食業者さんが4月27日に辞退届を出して、撤退をされました。電話で1時間ぐらいお話しをさせていただきましたけれども、非常に品のいいおばあちゃんで、ゆっくり思いの丈を話してくれました。原因はいろいろ正直あると。食数は減少して、老朽化した設備の費用の捻出も今後できない。ただ、決定打になったのは、今回の
新型コロナウイルスです。それも利益が出ないというのも、これは分かっていながら、ただ、その方は、これは教育の一環だ、子どもたちのためだというモチベーションで続けていて、草木ダムの奥まで、本当に少数のパンを運んでいたそうです。そういうモチベーションでやっていた。しかし、今回の
新型コロナで穴が空いてしまって、やはり学校給食会さんが向き合ってくれなかった、寄り添ってくれなかったというのが原因だ。心が折れてしまったということをおっしゃっていました。すごく途中で放り投げるような形で本当に申し訳ないんですと、ただ本当にもうこれ以上は無理ですということをおっしゃっていました。
そして、この藤屋さんだけではなくて、高崎、安中、富岡の西毛122校、3万1,000食を提供している、会社名は出しませんが、ある業者さんも今撤退を検討しています。ほぼ撤退を固めたということも聞いております。ちょっと待ってくださいということを今話しています。これは122校、3万1,000食分空いちゃうと、急に埋める業者は見つからないと思うんですよ。これは本当に給食に穴が空いちゃうんです。ただの、これは納入業者さんですけれども、そういうことではなくて、本当に寄り添って一緒にやっていかないといけない問題だと今回感じました。
先日、子ども食堂が再開されたということで、子ども食堂に行ってきたら、夕方5時ぐらいだったですよ。食事を一緒に食べたら、その子ども、うちの小学校6年生の長男と同じ年齢の子どもが、今日これ1食目なんだと言っていたんですよね。本当にそういう子がいるんですよ。そういう子のためにも、給食というのを本当に残していかなくてはいけない。おいしい栄養のある給食というのを守っていただきたいんです。
このためには、やっぱり抜本的に見直さないと駄目なんです。これ、
新型コロナで分かっていましたけれども、ずっとずっとそのままに放っておかれた社会課題なんだと私は思っています。ぜひ教育長には、愛のある答弁をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
◎笠原寛 教育長 学校給食についてのお尋ねでございます。
今、議員からお話しございましたが、
新型コロナウイルス感染症対策に伴います学校の臨時休業措置によりまして、給食の関係の事業者の皆様方、大変非常に厳しい状況にあると承知をいたしております。
学校の休業また再開は学校設置者において決定することでございますが、地域における感染の状況等を踏まえ、総合的に判断されるため、休業決定が直前になってしまったということもありまして、給食のキャンセルが間に合わず、残念ながら、先ほどございましたように、大量に製造された食パンが廃棄されたケースもございました。
このように、既に製造に着手した給食食材に関する経費につきましては、これまで学校設置者におきまして一定の補償をしているところもございましたが、製造前の食材に関わる損失までは行っておりません。こうした中で、文部科学省では新たな学校臨時休業対策費補助金におきまして、3月分の臨時休業期間についての補償につきましては対象となっておりますが、4月以降の関係につきましては対象となっていないということで、4月、5月と臨時休業が続いている中で、給食事業者の方々は大変厳しい状況が続いていると考えております。
こうしたことから、県といたしましては、全国知事会、また全国教育長協議会を通じまして、国に対して、まずは給食事業者の皆様方へさらなる支援の充実を要望させていただいているところであります。学校給食に関わる問題につきましては、義務教育を進めていく上で、本県のみならず全国共通の課題となっておりますことから、国として、この課題の解決に向けてしっかり取り組んでいただけるよう引き続き国に対して要望は続けてまいりたいと考えております。
それに加えまして、各学校において持続的かつ安定的に給食をできる体制を維持していくことは極めて重要なことだと考えております。県教委といたしましても、給食の関係の事業者の皆さん、また学校給食会、そして市町村教育委員会といった関係の皆様方と一緒に学校給食に関わる課題をしっかり検討をしてまいりたいと考えております。
(「お願いします」と呼ぶ者あり)
◆高井俊一郎 議員 教育長、ぜひよろしくお願いします。もちろん補償も大切なんです。ただ先ほど言った契約内容の見直しというのも絶対にしていただきたい。その中で、一緒に歩み寄って、給食業者さんもそう、学校の栄養士さんもそう、みんなで寄り添い合いながら、愛を持って、これをどうしたらいいかというのを真剣に議論していただきたいんです。契約の問題もぜひしっかりと考えていただけたらと思います。給食を残してください。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
続きまして、宇留賀副知事にお願いいたします。
○岸善一郎 副議長 宇留賀副知事、答弁席へ。
(宇留賀敬一副知事 登壇)
◆高井俊一郎 議員 宇留賀さんは、国でIT政策や再生エネルギー、伝説のサウス・バイ・サウス・ウエストなど、霞が関の中でも常に先を走る経産省の中のトップランカーだと私は認識いたしております。その宇留賀さんの持つ先見の明にお尋ねをさせていただけたらと思います。
まず、この
新型コロナはまだ数か月ですけれども、我々の生活というのは大きく変わったと思います。我が家は小学生が3人おります。休校中は妻が先生で、45分の授業、15分休憩を挟んでというものを6時間目までやりまして、分からないところは親戚付き合いしている教員のOGにテレカンで教えていただく、そんな対応を取っていました。私は何もしていないんですけれども。
私自身は、毎晩の会合はなくなり、打合せは大体オンラインになりました。都内で打合せも、2時間かけて山名駅から都内に出て、1時間打合せをして、また2時間かけて帰ってきたものが、本当にオンラインの会議で1時間でやりとりができて、当然、その交通費もなくなったということも、非常に楽を覚えてしまったなという感もございます。
リモートワーク、オンライン会議が増えて生活がすごい効率化されていくんだと思います。副知事はトップランカーとして、デジタル化、技術、働き方、教育など、私たちの社会や生活がどのように変化していくと予測しているのか、まずお尋ねをいたします。
◎宇留賀敬一 副知事 高井先生、まず本日は、このように議論をさせていただく機会をいただきまして、大変ありがとうございます。なかなか社会がどう変わっていくかというところを見通しするのは、日々それぞれ見ながらというと簡単ではないんですけれども、自分のほうで感じているところを少しお話しさせていただければと思っております。
まず、ちょっとデジタルトランスフォーメーションという言葉、県庁としても、今年から新たに課もつくりましたけれども、これはよくIT業界ですとか金融業界のやり口で、難しい横文字をつくって、受け手の人の頭を混乱させて何か新しいことのお金を引き出すと、そんな言葉なんですけれども、分かりやすく言うと、ITを使って生活ちょっとよくしましょうということに尽きます。我々、コロナ危機の中で、アマゾンでぽちっと押して通販をやった方とかはいっぱいいると思うので、まさにこれはデジタルトランスフォーメーションのひとつというふうに思っていますし、以前、知事から呼んでいただいたPoliPoliの伊藤さんという方は、自分の家にテレビはありませんという話をしていたんですが、情報を収集するというところも、自分でITを通じて取りにいく、こういったところもデジタルトランスフォーメーションかなというふうに思います。
こういう流れというのは、これからますます加速していくというところになりますし、今回、いろいろ自動車メーカーとか、いろいろ業績悪いという話が出ていますけれども、大体IT企業は基本的にそんな業績は落ちていないというところがある。こういう動きというのは、日本はなかなか遅れていたんですが、これから加速していくと思います。
どのように、これから社会からの少しITの話と、先ほどの先生の冒頭の話で感じる部分があったので、そこについてお話しさせていただきたいと思います。
まず、働き方と特に教育という話をさせていただきました。働き方というところなんですけれども、今まで多くの方が、今回、コロナという話でテレワークというのを経験されたと思います。テレワークというのは自分も推進をしてきたんですけれども、会社に行くというのが主で、テレワークは従という考え方だったんですけれども、これが、主がテレワークで、従が会社に行くというふうに変わってくると思います。
たしか先々週ぐらいに、大学の友人とようやく少しコロナの合間で時間があったので、Zoom飲み会というのをやりました。10人くらいでやりました。外資系が半分ぐらい、日本のそれなりに有名な会社が半分ぐらいのメンバーでやったんですけれども、3月から誰1人、会社に行っていませんでした。基本的にもう自宅にずっといてというような形で、自分と同じくそろそろ40になろうというところで、会社でそれぞれ企画を中心に担っているメンバーだと思います。そういったメンバーが基本的に家にいるという形で、彼らから言われたのは、もう東京に住んでいる必要ないよねというのを言われて、これから多分、群馬というのは、相当そういうところに住みながら東京の会社に働くとか、また海外の企業に勤めている、そういったことが当たり前になるかなというのがひとつ働き方として大きく主従が逆転した、場所というのが選ばれなくなったというところが大きくあると思います。
教育という点も、今、知事の下でICT化というのは非常に力を入れて進めていますけれども、ここも1960年代、70年代の高度成長期のときの教育体系というのが、いまだ日本は残っていると思います。何かというと、徐々に繊維産業から重工業産業、重工業産業、機械産業というふうに変わっていく中で、何をすればいいか比較的明確だった時代というのがあります。この時代というのは、とにかく知識を入れて、言われたことをしっかりやるというような形のところが重要でした。ただ、これからというのは、本当にある程度衣食住も満たされてきて、この先どういうふうに社会が変わっていくか。こういったところが見通せないところがあります。その意味で、日々、自分で思考できたりとか、状況、状況に応じて判断ができるような力というのが必要になってくるので、知識プラス思考力とか自分の独自性、そういったものを発信するという形に社会のニーズが変わってきている。すべからく教育のほうも変わっていかなきゃいけないというところもあります。
我々のほうに、教育というところのIT化を進めているのは、まさにここに対応しようというところで、知識を習得するというところはITを使いながら自分のペースで効率的にやる。教科書を読んで学べることというのは、ITを使ってより効率的に学びをしながら、一方で、そこで効率的にやって空いた時間というので、まず答えのない世界、10人いれば10人の答えがあるので、その十人十色の答えというのをみんなで持ち合いながらぶつけていく、そういった形で思考力を鍛えていくというのが学校の場になっていくと思います。こういう形で教育も、今、知識偏重から知識プラス思考力、むしろ思考力をみんなで高め合う場というふうに変わっていくかなと思っています。
こういうように、いろいろITを使いながら社会が変わっていくと思います。ひとつ、我々として大事に、忘れてはいけないのは、冒頭、先生のほうから自然への畏敬の念、こういったことを忘れちゃいけないという話がありました。これからITを使ってどんどん社会、経済が効率化されていく。これというのは自然破壊、今まで大量消費、大量生産、経済優先でどんどん自然というのをむしろ無視してきた、こういったことを進めていくというのがいいのかというところに今回やっぱり疑問が出たというところがありまして。大量消費、大量生産から、自然と共生しながら持続可能な成長に持っていくというところに大きく我々の意識も変えていくというところは必要になってくると思います。効率化一辺倒ではなくて、効率化しながら、いかに自然と共生していくか、そんな形で社会のほうは変わっていくんじゃないかと思います。
◆高井俊一郎 議員 そうですね。未来に引っ張られている感というのを感じています。
〔資料④提示〕移住・定住とその下に移らせていただきますけれども、これは知事もよく御存じだと思いますが、安宅さんの開疎化の図です。今まで都市というのは、密を目がけて都市というのができたものが、この
新型コロナの影響によって、今度、開疎化、ここのスペースに人が集まってくるという、開疎化と言われている図です。ある意味、都市に人を集めているという資本主義のモデルをぶっ壊された感というのが非常にあるわけで、本当に今後どうなっていくのかなと。それによって移住・定住、またその下の交流・観光というのも大きく変わってくると思います。
すみません、この下の質問をあわせてお聞きしますけれども、今後、移住・定住、また交流・観光というのはどう変わってくるかというのをお答えいただけたらと思います。
◎宇留賀敬一 副知事 続きまして、なかなかここも難しい課題だと思いますけれども、御質問いただきまして、ありがとうございます。
ひとつ、移住・定住と観光のところですけれども、今回、我々が感じたのは都市のもろさというところと、あと仕事というのは、先ほども申し上げたんですけれども、場所を選ばなくなった。東京にいるからいい仕事が得られるではなくて、むしろ人に仕事がついてきて、その仕事をする場所は特に選ばないということが大きな変化で、我々としては感じる部分。もう一つ、観光というところでいうと、どちらかというと量から質への変化というところで、とにかくいろんな人に来てもらおうというところから、ゆったりと楽しむような形に変わってくる、こういったところが大きな変化としてあるかなと思います。
まず、移住・定住というところの考え方なんですけれども、先ほども少し、この安宅さんの開疎化という話にもありますけれども、都市の一極集中、日本でいうと東京に一極集中、全ての人、物、金、情報、そういったものが東京に集まるというところのもろさというところが非常に浮き彫りになったと思います。今回のコロナのところ、緊急事態宣言が開けるというところで、最終的には東京を中心とした東京圏の4県が最後まで残ったというところがあるので、いち早く経済活動がそういったところは止まり、回復するときも一番遅いという形になってくるので、都市一極集中、ここのよさもあると思うんですけれども、そこ以外に、地域にしっかり分散させていくということが大きな形になってくるかなというのが、まずひとつあります。
また先ほど、必ずしも東京圏に住みながら都心の職場にいなくてもいいということがありますので、自分も、ちょうど地方創生という話が始まったときに地方創生本部というところで仕事をしていました。そのときに、地域にはなかなかいい仕事がないので、むしろいい仕事を地域につくるんだといって、この五、六年ぐらいやってまいりましたけれども、ここが大きく変わったと。地域にいい仕事をつくるというアプローチじゃなくて、むしろ地域にいい住環境をつくるとか、いい生活環境をつくることによって自然に人が入ってくる。ある意味仕事を持った人が入ってくるというふうに変わった。ここは我々として気づかされた部分かなと思いまして、こういうふうに、むしろいい仕事をつくるというところに加えて、いい住環境をつくっていくというところが大きくポイントになるかなと思います。
これが観光にも通じてくると思っていまして、観光に関しても、従来、日本の観光というのは、大手の旅行代理店が企画をつくって、そこに団体旅行で行くという形で、価格をできるだけ抑えながら、多くの人に行ってもらうという形をやってきたんですけれども、ここはITが始まってきて、個人客が増えてきたというところで、量から質への転換と言われていました。ただ、なかなか旅行業界、観光業界というのは変化ができなくて、そこを補うようにインバウンドを入れていくという形があったと思うんですけれども、ここの動きというのは、やはり今回、コロナの話があって、いろんな人に来てもらうというよりは、それなりの数に来てもらいつつ、むしろゆったりと楽しんでもらう。
最近、自分もゴルフはしないんですけれども、例えて言うと、多分、県議の皆さんにも分かりやすいかなと思いまして、日本でゴルフに行くと、大体7分とか8分置きにスタートしていきます。どうしても自分みたいにあっちこっち行く、前の人に詰まったときもあれば、後ろから追われるようなときもあって、少し途中からプレーに集中できなくなってくるところもあります。ただ、これからというのは、むしろ15分置きとか30分置きとか、ゆったり出ていって、前後を気にすることなく自分たちのペースで楽しめるような、そんな形に変わっていく。自分もアメリカで1回だけ少しパブリックでいいところに行って、30分に1回ぐらい1組が出ながら、前後を気にせずにゆったり楽しめる。観光に関しても、そういうふうにゆったり楽しんでいくというところが出てくるかなと思いまして。これまでの量とか過密というところから、むしろゆったりと楽しむ、そういういい住環境のところ、いい場所に行くというような形に大きく住環境の移住定住、また観光というところは変わってくるかなというふうに思っています。
◆高井俊一郎 議員 非常に面白い、もっともっとお話を聞いていたい。今、聞いていて感じたひとつは、やはり移住・定住と交流・観光という差がなくなってくるんだろうなということと、あとは知事、やっぱりチャンスしかないですね群馬県は。この変化というのは本当にチャンスになり得るんだなということを改めて感じました。宇留賀副知事、ありがとうございました。
続きまして、
戦略セールス局長お願いいたします。
○岸善一郎 副議長
戦略セールス局長、答弁席へ。
(佐藤武夫
戦略セールス局長 登壇)
◆高井俊一郎 議員 よろしくお願いします。
今、話したように、観光は本県にとっては、先ほども議論でありましたけれども、非常に大切な産業、また被害も大きいので、もう少し突っ込んで質問させていただきます。
先日、伊香保のある老舗旅館でヒアリングしてきました。何と95%減ということで非常に大打撃でした。今年は特に東京オリンピック、また群馬DC、デスティネーションキャンペーンも重なっていけいけのムードだっただけに、この被害、そしてその落胆というのは大きかったと思います。
まず、群馬DC、どうなっているかというのをお尋ねいたします。
◎佐藤武夫
戦略セールス局長 この4月から群馬DCがスタートしたということなんですけれども、結局、
新型コロナウイルスの影響を受けまして、事前に市町村や地域の方々が準備してきた特別企画ですとかイベント、ことごとく中止または延期となってしまいました。今月25日に全国で緊急事態宣言が解除されましたけれども、今はまだ全国各地、あるいは首都圏からお客様を積極的に呼び込むというような活動ができないというのが実態でございます。
これまでの間、DCの企画、イベント等が実施できなかった分、インターネット等での情報発信は引き続き続けてきたんですけれども、とりあえず、これから収束に向けて観光資源の磨き上げというのを行ってまいりました。そういったものをさらに強め、今後の反転攻勢に向けて、大きくそういったものを活用していきたいというふうに考えています。
いずれにしても、情報発信は常にやっていかないと、回復のときのV字回復が望めないのかなということで、DCの活動の一端として、そういった情報発信をやっているというのが現状でございます。
◆高井俊一郎 議員 ありがとうございました。
先ほど福重議員との議論でもありましたけれども、少し重なる部分もございますが、私はチャンスだと申しますのが、何点かあります。
〔資料⑤提示〕まず、こちらは2019年の旅行の国内消費額ですけれども。インバウンド、インバウンドと言いますけれども、伸び率は断トツで一番大きいんですけれども、17.2%ということです。この日本人海外旅行客というのは、日本でお金を落としている金額で、海外に行くともっともっとお金を落としているということは、ここの総体というのは、もちろんこの
新型コロナで不安だというようなはかれないところがありますが、総数というのは実はそんなに変わっていないと。先ほど福重議員とのやりとりでもありましたように、近くから要は人が入ってくるよと。星野さんのマイクロツーリズムという話がありましたけれども、私はその近くというのは、知事、群馬県だけではなくて、これはもちろん第2波、第3波が来るので怖い部分もあるんですけれども、やはり近いマーケットが大きいので、入って来るのも、やり方次第ではすごい実はプラスに働くんじゃないかなと思っています。
また、ほかの要因としては、先ほどのGoToキャンペーンもそうですし、ゴールデンウイークとか夏休みという大型連休が、働き方が変わったり、リモートになることによって需要が分散化されて平準化する、ピークのでこぼこはある程度ならせるだろうということ。また、先ほどの宇留賀副知事の御答弁でありましたけれども、リモートワークの普及でワーケーションみたいな中長期滞在というのも、温泉に入って中期長期滞在できるのは本当に幸せだと思いますけれども、そのようにプラス要因もたくさんあるんだと思います。
だからこそ、今こそ差別化をする明確な施策というのを出していかなくてはいけない。知事が幸いにも発信力が抜群ですので、群馬の観光地は大丈夫だ、群馬は安心だというような
ガイドラインをしっかりつくって、それをしっかりと発信をしていく。また3密回避とかも群馬は徹底しているよという独自のものをつくって、それも発信していくとなると、逆にチャンスにもなり得ると思います。今後の観光と交流の戦略の見直しというのをお聞かせいただけたらと思います。
◎佐藤武夫
戦略セールス局長 ありがとうございます。今回の
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえますと、これまで積み上げてきた観光誘客の枠組みというものを根本から見直す必要があるんだろうなというふうに思っております。
先ほどの副知事の答弁を踏まえまして、具体的に県内の観光のあり方をどう見直していくのかということにつきましては、まず、やはり受入れ側において、つまり宿泊施設において、お客様に安心して泊まっていただけるという環境をつくっていかなきゃならない。そこで、先ほど御指摘のような独自の
ガイドラインをきちんとつくって、3密を防いで安心して泊まれる環境を御提供させていただくということだと思います。もう現実に観光3団体協力の下に、本県の
ガイドラインを作成してございます。これをいかに徹底して県内の各温泉地の宿泊施設等に浸透させていくかということがまずひとつの課題かなというふうに思っております。
それから、また、そもそもの観光のあり方が変わっていくということで、例えばこれからは国内旅行においても、家族ですとか少人数の旅行というのがどうしても中心になってくるのかなと思います。そういった方々にできるだけ長期に滞在していくような取組ですとか、先ほどもお話に出ましたワーケーションのような取組、特に今、環境省のほうで保養温泉地におけるワーケーションというようなことの企画を盛り上げるというような枠組みも出してきております。そういったものに本県としても取り組んでいきたいなというふうに考えているところでございます。
それから、県内の産業界ともよく連携して働き方を変える。これまで大型連休、夏休み、年末年始、集中してお客様が来るということですけれども、これからは密にならないような宿泊のあり方というのがあるとすれば、平準化した形で、それでいて全体のボリュームを落とさないというような取組が必要になってくるかと思います。これからの新しい観光のあり方というのを模索しつつ、県内の観光関係者と連携していきたいというふうに思っております。
◆高井俊一郎 議員 局長、ありがとうございました。ぜひ災い転じて福となす、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
続きまして、知事、お願いいたします。
○岸善一郎 副議長 知事、答弁席へ。
(
山本一太知事 登壇)
◆高井俊一郎 議員 知事、よろしくお願いいたします。
〔資料⑥提示〕政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の時代を考えるという言葉がありますけれども、私の中の本当に憧れの政治家は山本一太さんです。その一挙手一投足、本当にお手本だと思っています。ということで質問させていただきますけれども、先ほど来、DXとSDGsの話をしてまいりました。DXというのは効率化、SDGsというのは非効率的なもの、倫理的なもので、相反するところがあると思うんです。ただ、これは同時に進めていかなきゃいけないので、この真ん中にやはり愛がなきゃいけないと思うんですね。その愛に対して、知事の思いを聞かせていただけたらと思います。お願いいたします。
◎山本一太 知事 御質問ありがとうございます。あと4分しかないので、何て言ったらいいのか分からないんですけれども。私も再三、高井県議の活動に注目しています。今までの県議のパターンを崩すような新しい活動、青天塾、オンライン、例えばオランダの愛ある制度づくりみたいな、こういう人たちをどんどん呼んで、グローバルな知識を身につけていこうという志の高さに感銘していることは、ちょっとお伝えしておきたいと思います。
あと3分しかないので簡単に言うと、今日、高井さんが言ったことはとっても大事な問題意識であって、つまり、最近よく政府のIT総合戦略室なんかの報告書によく出てくるデジタルインクルーシブ社会ってあるんですよね。デジタル化というのは大勢の人たちに恩恵をもたらすんだけれども、さっき言ったように、全員がこの恩恵を受けなきゃいけないと、1人も取り残すことがないような社会を目指さなきゃいけないというのは、全くそのとおりだと思います。Society5.0に愛を吹き込むのは、高井県議流に言うと、まさしくSDGsだろうというふうに思っています。
最後に申し上げると、デジタル化は進んでいくと。じゃあ、デジタル化は人間を幸せにするのかというのは根源的な議論で、ずっとあるんだと思うんですね。そういうことで言うと、デジタル化で人を幸せにしているところはあるのかなと思うと、よく国連の世界幸福度ランキングで大体1番から5番まで全部北欧諸国、日本は先進国最低の50番ですよね。私は、なかなかエストニアみたいな電子政府ができるようなところは別としても、デンマークはとても参考になると思っています。ほとんどの行政サービスが全部オンラインでできて、若者からお年寄りまで、もちろん日本と政策というか、福祉国家だから違うんだけれど、物すごく幸福度を感じている。だから、高井議員のおっしゃった物すごく大事な視点、デジタル化はもちろんいいことなんだけれども、この中で一人ひとり誰も取り残さない社会をつくっていく、一人ひとりが個性を認められて、国籍が違っても、性別が違っても、宗教が違っても、考え方が違っても、障害の有無があっても、それぞれに幸せを追求できるような社会にしていくということが大事だと思います。
最後に言うと、宇留賀さんがいつも言っているポストGAFAの世界、GAFAの世界はピークアウトしたと。これから我々が目指すのは、GAFAが富を独占するような中央集権型のものじゃなくて、これは当然、自立分散型社会に向かうと。ITが本当は大勢の人たちを、貧しい人たちにもチャンスを与えるという理想を持っていた、そういう流れをしっかりくみ上げた形の群馬県のビジョンをつくっていきたいと思います。
◆高井俊一郎 議員 ありがとうございます。気持ちいい答弁をありがとうございました。
本当に知事のお言葉を借りると、県民の幸福度、私は今日、愛と言いましたけれども。DXも大切、そしてSDGsも大切、その間で、やはり愛をもって県民の幸福度を上げていく。ぜひ私も微力ですけれども、一緒に県民の幸福度に向けて尽力させていただけたらと思います。ありがとうございました。(拍手)
○岸善一郎 副議長 以上で高井俊一郎議員の質問は終わりました。
● 休会の議決
○岸善一郎 副議長 お諮りいたします。
6月1日は議案調査のため本会議を休会にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○岸善一郎 副議長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
以上をもって本日の日程は終了いたしました。
次の本会議は、6月2日午前10時から再開し、上程議案に対する質疑及び一般質問を続行いたします。
● 散 会
○岸善一郎 副議長 本日はこれにて散会いたします。
午後3時26分散会...